NY最後の夜はアイコさん(の絵)に抱かれました。
上海で開催されたアジアではじめての個展を成功させたあと、NYへ戻るまえにしばらく東京に寄ると聞いて、じゃぁこの機会にパッケージの色校正をお願いしようと思ったのだけれど、どこでどう間違ったのか、銀の箔押しを指定したはずがシルバーのインクに入れ替わり、校正するまでもなくなって、結局彼女とは会わずじまい、それが1ヵ月まえのことだった。
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彼女とはAikoさんのこと。
NYを拠点にステンシル、スプレーペイント、シルクスクリーンを縦横に駆使してストリートポップな作品を次々に発表するソロ・アーティストだ。
そしてパッケージとは、彼女のハイコントラストの絵“レディ・バタフライ”を立体化したレジン・スタチューのためのもの。
Aikoさんという類い稀な才能とタックを組んで留之助商店がプロデュースする初のオブジェモチャであり、パッケージもまた目眩くアートの一部なのである。(上の画像はその底蓋)
できたらパッケージの本機校正とスタチューのペイントマスターをお土産代わりに持参したかったのだけれど、どちらも間に合わなかった。
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コミコン2日目の土曜日にAikoさんと会場で待ち合わせ、一巡した。
2日後の月曜日、NY最後の夜は夕食をごいっしょした。
場所はミートパッキング地区にあるNYでいちばんヒップなブティックホテルThe Standard New York(上の画像)1階のグリル、家内と写真家の藤城直也さんもいっしょだ。
かつての高架鉄道を作り変えた空中公園ハイラインを跨ぐように建つユニークな18階建て、このホテルのことを知っていたら間違いなく泊まったのに。
食事のあと、Aikoさんの案内でミッドセンチュリー・モダンなロビーを抜け、エレベーターで最上階へと向かった。
Aiko作品に一目惚れしたホテルのオーナーの依頼で2ヵ月を費やし仕上げたという、階段周りの力作を観るために。
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細腕小柄なAikoさんに“女宇宙怪人OX”がダブってしまった。
なんて言っても通じないと思うけれど、つまり1950年代の同名のSF映画に出てきた宇宙人のエネルギー波によって身長50フィートに巨大化した美女のことだ。
一歩足を踏み入れた階段の踊り場で、大いにたじろいだ。
見渡す限りAikoさんなのだ、吸い込まれそうになる。
隅々まで入念で驚くべき集中力のなせる大業、果てしなくセクシーで限りなく陽気。
作品を観るというよりは作品の中に飛び込む感じといった方が正しい、終いには言いようのない母性に包まれてホッとさせられる、女宇宙怪人OXの手のひらでまどろむように。
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エレベーターで1階へ降り、外に出ようとしたら、稲光と豪雨の待ち伏せに遇った。
小雨になるのを待ち、タクシーを拾いに通りへ出た。
水の匂いを嗅ぎながら、しばらく歩いた。
10年前、まだここが何もない荒れた町外れだったころ、グラフィティをしに来たものだけれど、それがいまではこんなに発展して、中でも最高のホテルで壁画を描くことになるなんて思いもしなかったと、Aikoさんがつぶやいた。
ドラマチックな運命に生きる純粋に凄い女性だと思った。
NY最後の素敵な夜をありがとう。
飛騨高山に帰り着くころには、レディ・バタフライの最初のカラーウェイが届けられているはずだ。
留ブラPROのぜんぶで3種類のパッケージ・デザインは、11月はじめまでには完成させてほしいとお願いした。
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by tomenosuke_2006 | 2010-10-15 23:59 | ロウブロウアート
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