評判イマイチの映画ブラック・ダリアですが。
a0077842_1151592.jpg1973年の“悪魔のシスター”でブライアン・デ・パルマのファンになり、翌年の“ファントム・オブ・パラダイス”でますます心酔し、“愛のメモリー”(76年)もさることながら、同年の“キャリー”がこれまた面白く、“フューリー”(78年)も楽しんだ。
続く“殺しのドレス”(80年)や“ミッドナイトクロス”(81年)の小技の効きもよかったし、その後の“スカーフェイス”(83年)のハチャメチャには笑わせてもらった。
むろん“アンタッチャブル”(87年)はカッコよかった。
けれど合点がいかないのは“虚栄のかがり火”(90年)である。
3年後の高得点“カリートの道”を足してもまだ失望の穴埋めにはならなかった。
ばかりか、デ・パルマはもういいやっていうところまできた。
ニュージャーナリズムの旗手トム・ウルフ初の長編小説にして傑作を、ここまでダメにしてくれちゃって、デ・パルマに対する長年の信頼は完全に消散してしまった。
だからジェームズ・エルロイの“ブラック・ダリア”を映画化したときいて、心底怖くてしょうがなかった。
原作小説のいいところを汲み違えたり、曲解するのが得意な人である。
エルロイの精密な考証による1940年代ハリウッドの頽廃をきちんと再現できるのか。
あの暗くて暗くてさらに暗〜いハードボイルドを、ちゃんと映画化できるのだろうか。
そんな気持ちで公開2日目の10月22日午後、木曽川ダイヤモンドシティのシネコンで数人の観客とともにデ・パルマの新作と対峙したのだった(同じころ大勢の観客が向かった先のスクリーンでは“涙そうそう”がかかってましたが、どんな映画なんですか)。
思えば“ミッション:インポッシブル”(96年)以来、10年ぶりに映画館で観るデ・パルマ作品だったが、それはまた映画館で観る最後のデ・パルマ作品となった。
散漫な展開、余計な話、明る過ぎる絵、少しもセクシーでない女優たち、もーイヤだ。
もし夫婦50割引で観ていなかったら、この文章、もっとおぞましく、長くなったにちがいない。
あえて明るい話題というか、書きとめておきたいことがあるとすれば、ブラック・ダリア殺害に加担するケロイド顔の男を演じた俳優ウィリアム・フィンレイのこと。
“悪魔のシスター”で呪われたシャム双生児の主治医を演じ、“ファントム・オブ・パラダイス”ではファントムその人を怪演した初期のデ・パルマ映画の常連だ。
そのフィンレイがファントムとまったく同じ醜く崩れたメイクで出てきたのを見て、ついうれしくなってしまったと、ただそれだけのことであります。
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ちなみに上の写真、左は留之助商店プロップ・コレクションのファントム・マスク。
もちろん32年前の映画“ファントム・オブ・パラダイス”で、そのマスクを作ったスペシャル・メーキャップ・アーティストのトム・バーマン作です。
LAで映画ジャーナリストやってた1980年代に、彼に頼み込んでオリジナル・モールドから抜いてもらったいわゆるプル。
かぶって、フィンレイ気分にひたれます。
右はメディコムから来年4月発売予定のファントム12インチ・フィギュア・Ver.2.0です。
むかし出たVer.1.0(当店在庫あり)とは比較にならない高級仕立ての衣裳が、よい。
と思ったら、のだゆみこさんの作品なんだ。
ほかにもメディコムさんの仕事、いろいろやってんだね。
彼女とは“学校の怪談”でいっしょだった、とっても素敵な子だよ。
しかしこのファントム・フィギュア、いったいどういう人向けの商品なんだろう。
誰が買うんだろう。
メディコムって、いつもながら感心させられるっていうか、勇気みなぎる会社だと思うのでした。
あっ、忘れてました。
いちばん上の写真はというと、NECA社製の18インチ“スカーフェイス”フィギュアです。
1個だけ在庫してましたが、11月初めの連休に売れちゃいました。
by tomenosuke_2006 | 2006-11-09 11:48 | プロップ
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