時計じかけのモチャ
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1970年代後半、店主がいちばん熱中してたのは、映画のフィルム・コレクションだったかなぁ。
池袋文芸座(オールナイトの雰囲気が最高だった)、渋谷全線座(サラリーマンが仕事さぼって昼寝する大きなスクリーンの駅前映画館)、武蔵野推理劇場(といえばロッキーホラーショーでしょう)なんかの名画座こまめにまわっても、必ずしも観たい映画が観られるわけじゃない時代。
まだビデオソフトなんて便利なものが普及するまえのことだよ、20代の若者のくせに食欲よりも、性欲よりも、映画観たい欲がことのほか強くって、ついに到達したのがフィルムを買っちゃうことだった。
市販といっても、日本に専門店なんかないからFAMOUS MONSTERSのような雑誌に載ってるダイジェスト8ミリ版の広告を見て、たどたどしい英語の手紙を書き、いまとはくらべようもない手間ひまかけて個人輸入することに。
ついにはアメリカのコレクターから海賊版の16ミリ・フィルムを売ってもらうとこまできちゃった、好きこそものの上手なれ、だね。
原宿の店主のアパートはレアなSF映画の上映会場として、知る人ぞ知る名所になった。
いまは亡き手塚治虫先生、石ノ森章太郎先生、モンキーパンチさんや永井豪ちゃんなんかが常連さんだった。
が、そういう話は別の機会に回すとして、きょうはいちばん苦心して手に入れた16フィルムの話をまくらに、イマモチャの新作紹介までいけたらいいなと。

つまり知恵をしぼり苦労して輸入したSF映画、それがスタンリー・キューブリックの1971年の傑作サタイア時計じかけのオレンジ無修正版だった。
最近、DVDとかで観てないからどうなってるか知らないけれど、当時はキューブリック自ら日本向けに、セックスシーンの男女のアソコを隠すため、ボカシのかわりに“●”を合成した版が公開された。
だから当然、マニアとしては無修正が観たいから手を尽くしたのだよ、リバイバル上映される気配もなかったし。
まず、フィルム売却希望者を見つけ出す、これが大変、詳しくはまた別の機会に。
商談が成立すると、同じ人物から擦り切れてキズだらけになったタダ同然のディズニーアニメをオマケしてもらう。
そうしたら4本のリールの時計じかけを6本に小分け、その上にオマケのディズニーをグルグル巻きに。
そうやって輸入すれば、首尾よく税関検査をくぐり抜けられる、はず。
結果は、●の日本版の方が笑えるね、というのが上映会後の大方の感想だった。
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日本では売るのが難しいけれど、つい面白そうで仕入れちゃうJamungo系のディーラーさんから、珍しくこんな新作キューイーの案内がきたもんだから、つい30年もむかしのことを思い出してしまった次第。
左はヨーロッパのグラフィティ・アーティスト、ドクター・ホフマンの8インチ、右はまたしてもコジックさんの、まんまオレンジ色の2.5インチです。
しかし、なんですか、いま時計じかけの人気再燃ってことなの?
とりあえずキューブリック・ファンとしては見過ごすわけにはいかないし、この時計じかけキューイー、ちょっとだけ仕入れます。
by tomenosuke_2006 | 2007-01-18 00:07
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