モンパルナスでデイヴィッド・リンチの宇宙にハマる。
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土曜の夜遅く、ミラノからパリに入り、セーヌ川南の一大ショッピングエリア、サン・ジェルマン・デ・プレのホテル・サン・ペーレにチェックインした。
ミラノのホテル・ピエールに負けず劣らずのアンティークさだけれど、ワイヤレス・ネットワーク(有料)が完備、APPLEのワールドトラベルアダプタキットの中央ヨーロッパ用ACプラグも問題なく使えて、よろしい。
明けて日曜日は、真っ先にモンパルナス墓地近くのカルティエ現代美術財団へ、デイヴィッド・リンチの作品展“The air is on Fire”を観に向かった。
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何世紀にできた街並みなのかよくは知らないけれど、古く厳かな建物が続く通りに忽然と現れるガラスの塀。
その向こうにガラスでできた美術館と、紫色のネオンサイン“David Lynch”の文字みえる。
連日、人が押し寄せるルーブルやオルセーのお祭り騒ぎとは好対照の静かな佇まい。
ガラスが静寂を閉じこめたかのような空間で、いまもっとも前衛で美味なるデイヴィッド・リンチというご馳走をゆっくりいただくことができました。
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1階、ガラス張りの展示室。
このご馳走の味は1980年代にデイヴィッド・リンチその人から絶対食べるようすすめられた彼の常食、ボブズ・レストランのビッグボーイ・コンボ(3層バーガーとフライドポテトとサラダとサウザンアイランド・ドレッシングのセット)であり、C・C・ブラウンのバナナボート(チョコレート・パフェ)そのままだった。
どちらもカサが張って濃厚、紛う方なきジャンクフードの最高傑作、ものすごいボリュームだけれどそのクドさが病みつきになり、つい平らげてしまう。
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まさかデイヴィッドが20数年前と同じハンバーガーのランチと、おやつにパフェをいまだに食べ続けているとは思わないけれど、カルティエの個展のために、この場所で創作したとおぼしき大作のすべては、パンと挽き肉とチーズとトマトとレタスとタルタルソースが胃の中で混ざり合い消化・排泄されたような、または食べはじめてしばらく時間が経過し、アイスクリームと生クリームとチョコレート・シロップがドロドロと溶けて混ざり合い、かじりかけのバナナにまとわりついているような異形の様相を露にしている。
生々しく混沌として、時に邪まであったり、暗黒だったり、けれど共感してしまう。

地階、迷路のような展示室。
巧みなコラージュと画像操作でイレイザーヘッドの胎児のごとくディフォームドな(変形された)人々を描いた作品、目を覆いたくなるようなモノクロームの恐怖が連続する地下の壁面は、しかし計算しつくされたデヴィッドの悪戯の集大成とでもいえようか。
同じ地下の一角にはアニメーションや短編映像が繰り返し映写されるスクリーンもあり、その音響と、美術館のあちこちに仕掛けられたスピーカーから放たれるこれまたデイヴィッドの手になる効果音楽が入り交じり、襲われるのは視覚だけではなかった。
語りはじめたらきりがないので、これくらいにして。
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デヴィッド・リンチを持って帰ろう。
2階にはミュージアムショップがあり、これまたいい買い物をさせていただきました。
ハードカーバーの図録49.5€(約8,000円)、黒地と白地のagnès b.製ロングスリーブTシャツ各40€(約6,500円)、100客限定デイヴィッド・リンチ作のエスプレッソ・キット220€(約36,000円)、エスプレッソ・コーヒー22€(約3,600円)。
とくに色合い良く焼き上がったエスプレッソ・キットは早くも当家の家宝となったのでした。
by tomenosuke_2006 | 2007-05-14 15:29 | ロウブロウアート
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