シッポを巻いたイーマ竜。
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まずは、きょうの主役をご紹介。

左のイーマ竜は12月19日に発売されたDVD、RAY HARRYHAUSEN COMPLETE COLLECTIONに同梱されているスタチューで、宣伝コピーには“ハリーハウゼン鑑定書&シリアルナンバー付き!全高12インチの金星竜イーマ・スタチュー”とある。8000体作られた。
右のサーフェイサーを吹いただけの単色スタチューは9月28日の記事で紹介したモノクロ版イーマ竜と同じもので、こちらは未塗装。数年前アメリカで300体だけ限定販売された。
いずれもレイ・ハリーハウゼン自らオリジナルの粘土彫刻を型取り複製した半世紀前の石膏像を元に作られている。
ただし左はハリーハウゼン所有の石膏像をデジタルスキャニングして作製された量産用モールドによる。SFスタチューで有名なジェントルジャイアンツがカラーリングも含め製作に協力したといわれている。
一方、右はハリーハウゼンの古くからの友人でありモンスター雑誌FAMOUS MONSTERSの編集長だったフォレスト・J・アッカーマンが映画完成時(1957年)にハリーハウゼンから譲り受けた石膏像を元にしている。シリコンでモールドを作り、ひとつひとつ手作業で抜かれた。

で、そのハリーハウゼンのもっとも独創的なモンスター、イーマ竜の、とくにシッポについて考えたい。
DVDに同梱されているスタチューについて、知らんふりを通すわけにもいかないし。
ある人から数年前の300体限定と今回の8000体のスタチューの違いを尋ねられたこともあり、この機会に言及しておきたい。
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が、そのまえに8000という数字に目がくらむのだった。
こんな至極マニアックな47,000円もするスタチュー付きDVDを8000セットも作るなんて、ガンダムやジブリ(はもっとスゴイと思うけど)じゃないんですから。
それともこの日本に8000人も同胞がいると信じていいのでしょうか?
もしそうなら、嬉キモイ。
それから鑑定書なんて仰々しい上に、シリアルナンバーを入れることの意味がイマイチ分からない。
日頃300とか、せいぜい1200ぐらいの限定オブジェモチャを商っている関係で“8000分の6027”なんて言われてもねぇ、それがどーしたっていう感じ、ピンと来ないのです。
とかいいながら、47,000円X8,000セット=3億7千6百萬円のビジネスですよね、あやかりたい。
メーカーさんにはいずれ売れ残ったのをダンピング販売して、定価で買った実直なファンを悲しませることだけはくれぐれもなさらないよう、切に願うばかりです。
本当ならスタチュー付きDVDは500ぐらいとどめ、そうすればスタチューにも“稀少”という付加価値もつくだろうし、残りの7500をDVDだけの廉価版で出してくれた方が同胞思いといえるんじゃ。
とにかく8000体イーマ竜である。
結論からいってこれは、ことのほか無念な出来というしかないのだった。
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A5サイズの鑑定書にはレイ・ハリーハウゼン監修と記されているが、どこまで彼が関与したのか大いに疑問が残る。
カラーリングも誇張が過ぎて、カラーライズドされた映画のイーマ竜とは異なる。
手首や肘のトゲも300体イーマ竜の鋭角に較べて鈍い。
が、最大の欠点は、そのあり得ないポーズなのだ。
梱包をコンパクトにまとめんがための不愉快に丸められたシッポを見よ。
いまにも右足で己がシッポを踏んじゃいそうなトンマなイーマ竜は、けっして映画には登場しないぞ。
たった一度だけこんなふうにシッポを丸めて見せるが、それは腰を落として好物の硫黄を食べるシーンのみ、あとは踵より前へシッポが出しゃばることはないのだ。
ハリーハウゼンが創造した怪物たちがまるで生きているかのように見えるのは、つねに解剖学的に疑問の余地の無い正しい動きを身につけているからにほかならない。
という意味で、このシッポを丸めたイーマ竜はハリーハウゼンの神髄を踏みにじる8000匹もの親不孝者なのだった。
高嶺の花の、ほとんど入手不可能な300体イーマ竜を自慢するわけじゃないけれど、このシッポをツンと伸ばした感じ、地面からわずかに浮いて、ストップモーション・イン・ザ・アクション(こんな英語あるのかい?)の醍醐味に溢れているとは思いませんか。
こういうのを傑作というのです。
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↓ 8000イーマの裏側とA5サイズ鑑定書(ハリーハウゼンのサインは印刷)。
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↓ 300イーマの裏側とA5サイズの倍のレターサイズ鑑定書(ハリーハウゼンの直筆サイン入り)
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↓ ビリケン・ソフビ・イーマ(左)とX-PLUS・スタチュー・イーマ(右)。
いずれも創作イーマだけれど、シッポの扱いに間違いはない。
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by tomenosuke_2006 | 2008-01-07 23:59 | Sci-Fi Classicモチャ
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