変様するティム・ビスカップ、表現の実験室。
たとえばゲイリー・ベースマンの作品は、個展のたび、あるいは作品集の出版ごとに、長編絵物語の何ページかを順番に切り取ったかのような、前後に関連し合う一貫性を感じさせて面白い。
その絵物語は俗人の目には見えないこの世に充満する様々なMOD(Manifestation of Desireのイニシャルで“欲望の現われ”の意)を透視できる画家にして超能力者ゲイリーの人生そのもの、ライフワークと言い換えてもいいだろう。
一方、同じLAをベースに同じころから創作活動を開始して、互いに刺激し合いながらアートとトイの距離を埋める野心作を発表してきたのがティム・ビスカップ
たびたびゲーリーとペアで語られるけれど作風は対照的で、ゲイリーの長編絵物語に対してティムは短編集、この瞬間に抱いている興味や夢、実人生のめまぐるしい変化を彼は絵に留め置こうとする。
事物の本質はそのままで外観が変化することを変様というが、まさしくティムの絵はつねに意表を突く真新しさ、変様の醍醐味に溢れている。
新作を発表するたびに、まったく異なる筆致で描かれる女性や動物や、ときにはカイジュウを見るのは、表現の実験室に足を踏み入れるような胸躍る体験だ。
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ちょうど1年まえにLAで開催されたETHER(エーテル)以来のティムの個展The Artist In Youが、NYのJonathan LeVine Galleryで開催中である。

"The Artist In You"
Thru June 14th, 2008
Jonathan LeVine Gallery
529 West 20th St - 9E
New York, NY 10011
212-243-3822

この1年間、ほとんどオブジェモチャの仕事を絶ち、デジタルアートも休止して、絵筆を握りメートル級の大型キャンバスに対峙する創作活動を続けてきたティム。
色使いは驚くほど明るくなり、黒色も闇を表すのではなく、色彩を引き立たせるためのバックグラウンドに帰った。
CGでいうところのパーティカルに似た画像の分解をアクリル絵の具で再現したような作品が目立つ。
見ようによってはクラッカーから飛び出した紙テープのようでもあり、カラフルなリボンにもとれる。
まるで何かを祝福しているかのような。
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そんな楽しみなティムの個展を留之助書店でお馴染のBaby Tattooが1000冊限定の同名の画集に仕立てた。
ただしいまのところティムのオンラインショップFlopdoodleでの専売。
いちおう留之助書店用に数冊、回してもらえないか交渉するつもりだけれど、面白いのはその画集をPDFファイルでダウンロードできることだ。
リンク先はこちら、http://www.timbiskup.com/TheArtistInYou/Artist-In-You.pdf、なんかとっても得した気分になれる。
意味深なタイトル、アーティスト・イン・ユー=あなたの内なる芸術家の“あなた”とは、己を客観視するクールなティム自身のことではないかと、一連の作品にざっと目を通して思った次第。
by tomenosuke_2006 | 2008-06-02 00:01 | ロウブロウアート
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