アンチックな写真アルバムのようなトラヴィス・ルイの画集。
はるか昔、ヴィクトリア女王時代、人と何か別の生き物が軸の隙間から異次元に滑り落ち、さまよい出てみると両者はひとつのからだに融合して、野生と知性を合わせ持つ人を超えた存在、見事な尤態と化していた。
そんなふうに思いながらTravis Louieの絵をはじめて見たのはHI-FRUCTOSEの5号でだったけれど、そのルイの処女作品集CURIOSITIES(好奇心)がBaby Tattooから出版されて、やっと留之助書店にも並んだので、お知らせ。
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ニューヨークのクイーンズに生まれ、SFとホラー映画を観て育ち、少年時代はレイ・ハリーハウゼン・モンスターのスケッチを数え切れないほど描いて遊んだという、だけで好感。
高校を卒業するとブルックリンのPratt Instituteに進みコミュニケーション・デザインで学位を取得、フリーランスのコマーシャル・イラストレーターとして独立するも、世間はそんなに甘くない、なかなか仕事にありつけなかった。
そこで理解を示してくれるギャラリーで自作を委託販売してもらいながら生計を立て、ついにはルイ・スタイルとでもいうべきファンタジー・アートに到達、認められたのである。
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分厚いハードカバー128ページの画集CURIOSITIESを手に取り、改めてルイ作品を観る。
で、なぜか気になったのが、うぶ毛のように細くてか弱そうな髪や髭やもみ上げの表現だ。
トラヴィス・ルイその人の頭髪の状態にもそこはかとなく似ていなくはないけれど、モノトーンで描かれた奇怪な人物たちの髪の薄さ、柔らかさは、陰の薄さにも通じておぼろげで、古い写真アルバムのような仕立ての画集は、“異次元より帰りしいまは亡き人々の記録”といった趣なのだ。
古びた図書館の奥の書棚から、たまたま取り出したほこりまみれの古い1冊に、この世のものとは思えない生き物たちの写真が綴じられていたら、それこそオロオロ取り乱してしまうことだろう。
CURIOSITIESは、そんな驚きと楽しみさえ与えてくれる巧妙にデザインされた疑似写真アルバム的1冊なのである。
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Baby Tattoo出版の書店在庫をチェック→http://tomeshoten.exblog.jp/tags/Baby+Tattoo/



書名はVictorian and Edwardian Fashion: A Photographic Survey、こういうのを見ると、ますますCURIOSITIESの巧妙さが分かると思う。
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by tomenosuke_2006 | 2009-09-09 16:52 | 書店入荷新着情報
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