2017年 09月 23日 ( 1 )
『ブレードランナー2049』のプロップマスターに読んでほしい
We want a property master of "Blade Runner 2049" to read this post seriously

本国アメリカのオンラインマガジンWIREDに掲載された『ブレードランナ−2049』の特集に、デッカード・ブラスターを写真付きで紹介した個所があり、その説明を読んで大いに失望しました。
なぜなら、Harlocker(『ブレードランナー2049』のプロップマスター)と彼のチームが、オークションで本物のブラスターを落札した人物からそれを借り受け、細部まで撮影・測定し、正確なレプリカを作製したと書かれ、留之助ブラスターについては一切言及されていなかったからです。
しかしその記事で使われている画像(下)からして、明らかに留ブラなのです。
正確を期するなら、それは留ブラを原型に使ったレジン製のコピーです。
おそらくスタント・シーン用に作られたのでしょう。
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シュタイヤー・マンリッヒャー・ライフルのマガジン・ハウジングの先端に、3mm程度の横のライン(A)が見えますが、それは留ブラにも、実物のブラスターにさえない個所で、シリコン・モールドの湯口の跡のように思われます。
またこのハウジングは、留ブラの特徴を顕著に表しています。
例えば縦のパーティング・ライン(B)は、実物ではこれほどクッキリと判別できないのです。
チャーターアームズ・ブルドッグのトリガーガードの付け根(C)がシリンダー・クレーンの軸穴に向かって伸びていますが、実物のブラスターにはこの突起はありません。
これは小さなネジ1本で固定されている実物のトリガー・ガードの脆弱な構造を補うための、私たちの苦肉の策です。
フロント・トリガーの上の小さな丸印(D)は、チャーターアームズのフレームをHWで成形した際に出来る押し出しピンの跡で、実物にはありません。
リア・トリガーの上の貫通穴(E)が埋まっていますが、これこそレジン・キャストであることの証に他なりません。
決定的なのはグリップの下に透けて見えるマイナスネジ(F)です。
これもまた留ブラの特徴のひとつです。
私たちはHW製のチャーターアームズのフレームに、亜鉛ダイカスト製のチャーターアームズのグリップ・フレームをしっかりと固定するため、強度を考慮して両方向から2本のマイナスネジで締め付けました。
しかし実物は画像の反対側からネジ1本で固定されており、こちらの面にマイナスネジの頭が見えることは決してないのです。
留ブラの販売パートナーであるハリコレの胸組代表が仲介し、ハリウッドのプロップ・スタジオからの求めに応じて、その時あった留ブラの完成モデルのすべての在庫(6丁)やラバーガン、グリップなども数多く提供(販売)しました。
この画像のグリップはまごうかたなき、その時のものです。



VICEの動画 “Inside the Making of Blade Runner 2049”では、5分30秒あたりからブラスターを手にしたプロップマスターが、臆面もなく、本物を参考に自分が作ったと語っています。
しかし目を凝らせば分かるように、それは日本の法規に基づき、私たちがバレルとシリンダーにインサートを埋め込んだ留ブラ(下のキャプチャー画像)に他なりません。
私たちは、この歪められた情報に触れて、未だに心の整理がつかないでいます。
プロップマスターという物作りに携わるプロフェッショナルなら、私たちのブラスターにかけた拘りや情熱が分かろうものなのに、実際はそうではなかったようです。
ひたむきで優秀な原型師の徳信尊さんをはじめ、日本のモデルガン業界の錚々たる技術者から、下町のキャスト工場で仕事に勤しむ職人さんまで、一丸となって留ブラを作ってきました。
開発に着手してから10周年を迎える記念の年に、留ブラが『ブレードランナー2049』で採用されたと知り、留ブラ・チームの全員が報われた思いでいたのですが、きょう、突然、水を差された気持ちに陥ってしまいました。
映画のエンディング・クレジットのどこかに"Tomenosuke Blaster"の文字が出ることなど、儚い夢となってしまったようです。
けれど私たちは、これからも変わらず精緻を極めた物作りに精進します。
分かる人には分かってもらえるはずだと信じつつ。
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MORE PICS and INFO (English translation)
by tomenosuke_2006 | 2017-09-23 12:21 | 留之助ブラスター