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留之助ブラスター・アップツーデート-7。
これが修正を重ねてたどり着いたキャスト用原型パーツの最終形、徳さん手作りのパーツリストである。
いまのところお見せできるものといえばこれくらいで、陳謝。
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生々しいパーツリストのすべてはこちら。
by tomenosuke_2006 | 2008-07-21 18:22 | 留之助ブラスター
留之助ブラスター・アップツーデート-6。
挽き物に必要なのは、よくできた原型ではなく精密な図面。
シリンダーは本物同様にシームレスな一体ムクの仕上がりがいちばんと思っていたが、レジンキャストではそれが叶わず、コストはかかるがABS樹脂を削り出す挽き物でいくしか手がないことが判明した。
挽き物製作には原型より図面がほしいとモデルファクトリー・ヒロさんから要望があり、徳さん、必死でそのための図面を書き上げた。
本日、すべてのキャスト・パーツの製造について正式にゴーサインを出した。
細かなバネをはじめナットやボルト一式、組立て用レンチなどのコストも出て、あとはLEDユニットの製作見積もりが出てくるのを待つのみとなった。
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留之助ブラスター(仮称)に多数のコメントをいただき、ありがとうございます。
意見交換のありましたホワイトメタル合金についてですが、店主も当初はRPG用メタルフィギュアを連想して内心、気が気でなりませんでした。
が、我らが島田英承さんという強い味方のおかげですべての不安は解消しました。
モールドへの注入作業の確実性、仕上がりの硬度、さらには染料のノリ具合まで考慮した最良の配合比を幾度かのテストで導き出し、留之助ブラスター専用アロイを完成させてくれたのです。
仕上がりをご期待ください。
by tomenosuke_2006 | 2008-05-15 23:18 | 留之助ブラスター
留之助ブラスター・アップツーデート-5。
一石二挺(鳥)とはこのことだ。
シリコンモールドで抜くホワイトメタルの唯一の問題点は、肉厚な個所の表面が荒れることにある。
それを“ス”と呼ぶ人もいるが、厳密には内部に細かな空洞ができるわけではないし、“ピンホール”のように深い穴でもない。
ホワイトメタルを扱うハリウッドのミニチュアメイカーやプロップマンは、それをポックマーク(pockmark=アバタ)と呼んでいたように記憶する。
ホワイトメタル表面の荒れ、ポックマークは、予想したとおりテストでレシーバーの一部とグリップフレームに現れた。
レシーバーに関しては、肉厚な部分の内側を1ミリ程度削り取ることで解決をみた。
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問題はグリップフレームだった。
実際には軽量のアルミを削り出したそのパーツをホワイトメタルに置き換えると、全体の重量バランスを損なうのではないかと懸念していたが、モデルファクトリー・ヒロの田中工場長と徳さんがポックマークを回避し、しかも軽量化する策を講じてくれた。
フレームの肉厚部分をごっそりエグリ取り、両側からフタをするというもの。
パーツが増えて予算的には頭の痛いところだが、これで最後の修正も完了した。
GW明けに最終見積もりが出たら、いっきに生産に入ってもらう予定でいる。
by tomenosuke_2006 | 2008-05-01 16:10 | 留之助ブラスター
留之助ブラスター・アップツーデート-4。
アドバイザーをお願いしているブレランのに〜ぜきさんから届いたメール。
「ワーコンでの展示では、ご存知のようにウィーバーライフルスコープの部品がついてましたが、レジンでの複製時点ではマイナスのネジですよね。(中略)ここへきてハイデフ映像での解析から、劇中のブラスターはマイナスしか確認できない・・・よって、ウィーバー部品は現在の所有者による後づけでは?という疑念が出ているようですね。そこでマイナスネジもオプションでつけるということはいかがでしょう。どちらかが真実であっても(後に判明したとしても)どちらもOKというわけです」
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ウィーバースコープ330/29sを装着したM1903A4ライフル。
第二次大戦時、スナイパーライフルとしてアメリカ軍に正式採用された。


真意はともあれ、それまでマイナスネジだと思っていたパーツにダイアルが切られ、後日それがウィーバースコープ・ノブだと知った時、リドリー・スコット監督が目指す2019年の世界観を見事に捉えたプロップメーカーのセンスの良さを強く感じた。
プロダクション・デザインのコンセプトがSF映画『2300年未来への旅』のような整然とした、あるいは斜めにジッパーが付いた洗練ではなく、現在(1980年代)あるものにパーツやユニットを付け足したしたり改変した、1980年代の観客が実感できる地続きの未来であらねばならないという、それである。
LAに散在する元来が未来趣味だったアール・デコ・アーキテクチャーや1930年代のマシンエイジ・デザインをセットや装飾にすすんで引用し、過ぎ去った未来の混沌に2019年の都市イメージを紛れ込ませる。
デッカード・ブラスターもまた、その定義の上にデザインされたとみていいのではないか。
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1929年に自動車メーカー、ダイムラーの傘下に組み入れられたステアー社。
その実用高級銃マンリカー・ライフル・SLモデルのボルトグループ部分は
他のいかなる銃にもない美しい流線型を描いている。


正円に限りなく近い断面を持つレシーバーの丸み、滴の尾のようなボルトスリーブの流線型、それに加えて右側面の中心にウィーバースコープ・ノブを配置する。
1942年に軍に正式採用されたマシンエイジ生まれのスコープの、もっとも機械的な部分がノブであり、それはまた“機械的”という言葉が“装飾的”の同意語として用いられていた時代の産物だった。
そう考えるとブラスターを造り上げたプロップメーカーの造詣の深さや目論見に一歩近づけたような気がして、20数年ぶりに公開されたワーコンモデルのあの錆びが浮いたようなレシーバーや使い古された状態も、けっして保管方法が悪かったのではない、映画のセットや他のプロップ同様、意図的にそう仕上げられたのだろうと思えてくる。
廉価版キット、完成品、12挺限定アーティストプルーフという3バージョンで準備を進めている留之助ブラスター(仮称)のうち、アーティストプルーフについては島田英承さんがグリップフレームを1点ずつアルミで削り出し、ワーコンモデルを意識して仕上げる予定だ。
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ホワイトメタルで抜いたレシーバーのファーストラン3本。
手前の1本はテストブルーイングが施されている。


に〜ぜきさんのアドバイスどおり、マイナス・ネジとウィーバースコープ・ノブはどのバージョンにも付属させる。
また12挺のアーティストプルーフには本物のウィーバースコープ・ノブを使用したいと考えている。
さらにサファリランドのショルダーホルスター1001モデルを改造した専用ホルスターも付属させる予定でいるが、まだ5点しか入手できずに苦慮している。
ライセンスはいまも交渉中で、取得できればオフィシャル製品として売り出すことができ、LAの大手ディーラーDKE TOYS DISTRIBUTIONがワールドワイドの販売を請け負うことになっている。
そうなれば1000挺は製造できるし、販売価格も大幅に抑えられる。
ライセンス代は1挺につき3000円程度上乗せされるだけだ。
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メタルパーツと樹脂パーツの混合モデルのため強度を確保するのが最大の懸案だ。
写真左から田中工場長、島田さん、吉井代表、徳さん。


ライセンスが下りない場合はガレージモデルとして販売するしかないだろう。
3月31日月曜日、東京でのブラスター会議。
ガレージモデルを想定し3バージョン合わせて100挺、200挺、300挺の3段階で見積もりを出すよう大東製作所の吉井代表にお願いした。
一部の修正パーツを除き、ほとんどの原型は実際のキャスト製作を担当するモデルファクトリー・ヒロの廣代表と田中工場長に託され、徳信尊さんを中心に、島田さん、吉井代表も加わって最後の詰めに入っている。
実銃を握った時の、意識して手首に力を込めなければ重みで銃口が下を向くあの感覚、あのバランスを再現してほしい、まるでガバメントを構えたような。
同時に振り回してもビクともしない頑丈さを確保してほしい。
そんなリクエストを出して会議は終わった。
次回のブラスター会議は4月9日水曜日の予定。
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エアキャップの上にならぶ各種原型をメタルパーツ化する予定でいる。


by tomenosuke_2006 | 2008-04-06 23:59 | 留之助ブラスター
留之助ブラスター・アップツーデート-3。
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『ブレードランナー』25周年も一段落し、玩具関係のライセンス供与の条件も緩和されそうだとのニュースがハリコレの代表、胸組さんからもたらされた、2月中旬のことだ。
数日後にはNYのInternational Toy Fair(2月17日〜20日)へ出かけるという彼にLAでブレランのライセンス関係者に会ってもらうことになった。
徳さんにそれを告げるとますますテンションが上がり、さらに完璧を目指し修正を重ねる。
LEDのインストール、懸案だったインチ六角ネジも思い通りのものが入手でき、とりあえず最終組み付けに漕ぎ着けた。
まずはメタルパーツの見積もりが、近く出る予定だ。
ライセンスを取得するのはいまだ容易ではないけれど、留之助ブラスターがいちばん近いところにいることに間違いはない。
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フォトアルバム3に新画像(21〜36)を追加した、ご覧いただきたい。
フォトアルバム・トップ:http://homepage.mac.com/tomenosuke/
パスワード:5060054
by tomenosuke_2006 | 2008-03-01 17:42 | 留之助ブラスター
留之助ブラスター・アップツーデート-2。
徳さんへ。
かつて頭ごなしの厳しいスケジュールに追い立てられ不本意な作品を納めざるを得なかった苦渋の体験者として、せめて貴君には十分な時間を遣ってもらいたいと思う。
店主にできるアドバイスといったら、それぐらいしかない。
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まだアナログなSFXの時代、ある映画で我ながら上手いと思う特殊なアニメーション・シーンを撮ることになった。
子供たちの描いた運動会のさまざまなクレヨン画が縦横5枚ずつ計25枚、小学校の玄関ホールの壁に画鋲で掲示されている。
その絵が怪しく動き出し、絵と絵がつながり、しまいには25分割された大きな運動会の全景となって二人三脚競争が繰り広げられるのだ。
“原寸大画用紙アニメ”と名付けた劇中もっともロウテクなSFXシーンは、撮影所に組まれた玄関ホールのセットをそのまま使い、夜を徹して2日で撮り上げる計画だった。
アニメーターの長崎希さんが画用紙に手描きした2000枚以上の絵の束を撮影所に持参した。
が、撮影直前に映画製作会社の経理担当プロデューサーが、今夜中にセットを解体すればスタジオ・レンタル代が2日分節約できると言い出したのだ。
金鉱を発見した山師のような態度は強硬で、もはや他人の意見に耳を傾ける知性など期待できそうになかった。
午前0時までの4時間で撮れなきゃ、予定変更だね。
アニメなんてものは、アニメ・スタジオで撮ればいい。
その絵を、セットで撮影した前後のカットではさめばいいじゃないか。
店主がSFXプロデューサーとして働いた日本映画界では、ときに予想もしない価値観と人の壁に阻まれて、涙を呑む場面を幾度となく体験させられたのだった。
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慌てる必要などない。
徳さんには思う存分時間を遣ってもらいたい。
年内に書き上げる予定の刻印原稿は正月返上で進められ、休み明けにまずマガジン回りの原稿がブラスターの原型とともに大木金版所の代表、大木健司氏に渡された。
カスタムナイフ作家で、あらゆる種類の金属や樹脂の加工に造詣の深い当プロジェクトのアドバイザー島田英承さんが太鼓判を押す機械彫刻の専門家が大木さん、トイガン業界では知らぬ人がいない刻印の達人であり、徳さんの前作クラリックガンのそれも大木さんが請け負っていた。
わずか3日間で仕上げたという曲面を描くマガジン底部(いちばん上の画像)の浮き彫りの美しさに、だれもが魅とれてしまった。
とりわけ徳さんの感動は半端ではなかった。
画像がメールされると同時に電話があり、その声は刻印の研究と書き起こしに費やした何ヵ月もの苦労がいっきに報われた喜びに弾んでいた。
マガジン刻印の完成と引き換えに残りの原稿が渡され、まもなくすべてが見事に仕上がった。
だが、しかし。
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実際の銃刻印は、反転された文字や文様で構成される鋼のスタンプを使い、特殊な機械で圧力をかけながら各パーツに刻まれる。
よってスタンプの文字や文様の凸面は鋭角に処理され、結果、刻印の凹面はV字状となり、とりわけ文字の先端は直角を描くわけだが、機械彫刻ではそこまで再現するのは不可能なのだ。
それを早い時期から指摘し、解決の糸口を模索していたのが島田さんだった。
目を凝らさねば見分けがつかない刻印の先端部のアール(上から3つ目の画像を参照)は、徳さんが一文字ずつ修正することになるだろう。
また凹面の処理には島田さんの秘策が使われる予定である。
いずれにしても徳さんの仕事は山を越え、次はキャスト成型の専門家、大東製作所の吉井城延氏に製品化へ向けての主要な作業が委ねられる。
シリコンモールドから抜く琥珀グリップの収縮率を0.4パーセント以下にとどめる新素材があると語る吉井さんもまた、島田さんの懐刀のひとりなのだった。

製作過程が一望できる最新のフォトアルバムをご覧いただきたい。
また2007年10月28日の1回目と12月24日の2回目のフォトアルバムも合わせて閲覧できるよう更新した。
フォトアルバム1〜3:http://homepage.mac.com/tomenosuke/PhotoAlbum14.html
パスワード:5092202
by tomenosuke_2006 | 2008-01-29 18:17 | 留之助ブラスター
留之助ブラスター・アップツーデート。
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画像Aと画像Bの間には29日間の徳さんの苦闘がある。
刻印原稿の書き起こしもほぼ終了し、年明けには機械彫刻の専門家、大木氏に最後の仕上げが委ねられる。
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製作過程が一望できるフォトアルバムをご覧いただきたい。
Making of Blaster-1(10月28日公開分)
http://homepage.mac.com/tomenosuke/PhotoAlbum7.html
Making of Blaster-2(最新版)
http://homepage.mac.com/tomenosuke/2/PhotoAlbum11.html
パスワード:5060011
by tomenosuke_2006 | 2007-12-24 19:36 | 留之助ブラスター
ブレランをめぐる暴言 3/3 「徳信尊の挑戦」
2007-03-27の記事のつづき。

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↑ 読売新聞1982年7月5日付け夕刊より、ボーヤ時代の店主が週1のペースで連載していた『USシネマナウ』の記事。はからずも完成した映画『ブレードランナー』について書かれた日本で最初の紹介記事となった。


玩具に関する一切のライセンスを引き受けるなら契約を進めてもいいと言ってきましたが、そうなると1千万円は下らないでしょうね。
先方はデッカード・ブラスターのライセンスだけを切り売りするような仔細なビジネスに興味はなさそうです。
一括で契約し、その契約者がフィギュアやプラモデルなどの商品化を希望する他の玩具メーカーとライセンスを分け合うことを望んでいます。
ですからハリソン・フォードのシグネチャー版を作り、サイドショーを通じワールドワイドで販売するという計画も残念ですが諦めねばなりません。
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↑ カスタムガン作家、徳信尊(トク・ノブタカ)は図面引きにおよそ2ヵ月半を費やした後、ブラスターの本体部分、つまりチャーターアームズ・ブルドックの原型製作に取り掛かった。彼が使用する素材はほぼすべてがABSのブロックとプレートである。実銃がそうであるように機械加工に拘り、必要に応じて加工用の刃物を自作。とりわけエッジの処理には細心の注意を払った。右下の画像はブラスターのバレルを取り付けた状態。


知人のライセンス・コーディネーターにはデッカード・ブラスターの商品化権を交渉してもらう一方で、海外での販売チャンネルの確保や、サイドショーが取引の条件として言ってきたフォードのシグネチャー版製作の可能性も探ってもらっていた。
さいわいフォードのエージェントからは1サイン=200ドルで500以上なら請け負うと内諾も得ていた。
サインでおよそ1200万円、ブラスターのライセンス代300万円(業界相場)、そして商品開発や製造の費用、さらに広告宣伝費など、下呂温泉にある土地建物を抵当に入れれて資金を捻出するつもりだった。
留之助商店で進めているブラスターは、なんとしてもオフィシャルな製品として発表したかった。
それにふさわしい仕上がりになると固く信じていたからだった。
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↑ 徳の作業はすべて数値を元に進められる。たとえばステアー・レシーバーの後端部の特徴的なストリームラインを再現するにも、彼はそのカーブを0.5mm刻みに分解して数値表を作製し、それに従って加工した後、慎重に研ぎ上げる。レシーバーの内側も実銃通りの仕上がりである。右下の画像は本体完成間際、レシーバーの先端部が2mm短いことが判明し、延長するためバッサリと切断してスペーサーを接着した状態。


ブレードランナーは1982年6月25日に全米公開された。
その1週間前、外人記者クラブからの直前の電話連絡で試写に出かけてみると、スタッフもいればプレス関係者も招かれるという最初で最後の公式な試写会だった。
スニークプレビューの評判が芳しくなく、間際まで改編作業が続けられていたとか、一部録り直しがあったらしいとシネフェックスの発行人ドン・シェイやシネファンタスティックの編集者ジョーダン・フォックスが語っていた。
ロビーではこれから始まろうとする映画よりも、むしろ大ヒット中の『E.T.』の話題で持ち切りだった。
ほとんどの人たちが絶賛していた。
君はどう思うかとたずねられ、あの宇宙人のデザインはいただけないねとこたえたら、そういうディテールで語る映画ではなく、ハートで観る映画なんだと諭された。
相手は誰だったか思い出せないが、そういう意見が大多数を占めていた。
ETは単なるSF映画ではないと、訳の分からぬ説明にうなずく人も少なくなかった。
試写のあともETを讃える声にブレランは圧倒されていた。
ブレランのセット・デコレーターでさえ、ボガードを意識したようなハリソン・フォードのオーバー・ボイスが鼻につくと言っていた。
店主にはフォードの声のどこがそんなに悪いのか分からなかったし、単なるSF映画ほど素敵なものはないと改めて思ったのだった。
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↑ 左上最初の画像はマガジンハウジング(ステアーのパーツリストではトリガーガードと呼ばれるパーツの一部)のジグ、マガジン内部の構造や機関部との関連を推考しながら形状を決めた。2点目は完成した中空ハウジング、おそらくブラスターの中でももっとも複雑で美しいストリームラインとストレートライン、滑らかさと鋭さが渾然一体となった部分ではないか。徳の苦心は並大抵ではなかっただろう。


徳信尊さんからメールが舞い込んだのは今年2月上旬のことだった。
“デッカードブラスター”で検索をかけたらこのブログに辿り着き、読み進んでいくうちに彼が高校生のころ親しんだSF映画関係の記事や本の執筆者と店主が一致したとかで、自己紹介をかねた数点の画像付きメールを送ってきたのだ。
もとより銃に目がない店主は徳さんが造ったというコルトSAA用の象牙のグリップやライフルの木製ストック、S&W-M19をM10にカスタマイズしたモデルガン、木とABSでフルスクラッチしたボーチャード・ピストルなどの画像に唖然とするばかりだった。
カスタムガンやガレージキットにありがちな手作りのブレとか造りの甘さなど微塵もうかがわせない。
隙がない。
むしろ工芸品とでも呼びたくなるような高い完成度、そしてその向こうに垣間見えるひた向きで情熱的な個性。
デッカードブラスターを検索したぐらいだから、その名SF銃に興味があるに違いないし、だったら1挺、個人的に決定版を造ってはもらえないかと思ったのが事の始まりだったか。
そのあとすぐ徳さんがブラスターを製品化する夢を追い続けていることを知り、またたく間に計画はスタートしたのだった。
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↑ シリンダー、トリガー、トリガーガードの製作。右上から2番目と3番目の画像はフィンガーレストの図面と、削り出し作業を示す。一般にグリップエンドと呼ばれているそれをフィンガーレストと解釈し、命名するあたりがガンマニアの徳らしいところである。


ブラスターに独自のオピニオンを持つ榎本龍彦店長に製作進行係をまかせた。
徳さん紹介のカスタムナイフ作家で、あらゆる種類の金属加工に秀でて銃刀法にも詳しい島田英承さんには、金属や樹脂などパーツ製作の根回しから製品化にいたるまで、全面的に協力いただくことになった。
旧知の友ブレランのに〜ぜきさんにはファンの目、マニアの観点から、徳さんの原型を考察したり批評いただくことにした。
プロデューサー役の店主はオフィシャルなブラスターの製作を断念し、他のガレージモデルとよく似た販売方法を模索しなければならなくなった。
ライセンス・コーディネーターからまったく別の次元で駆け引きされているブレラン・ビジネスの実態を聞かされ、ブラスターの商品化権を取得することなど端から無理な注文だと思い知ったのだった。
ブレランやブラスターへの思いをライセンスという手枷足枷で封じ込まれてなるものかと強く意識した。
くだんのライセンス・コーディネーターいわく、彼らがライセンスを積極的に売り込もうとしている先は、日本ではただ1件、パチンコ業界なんですよ。

さらに。
by tomenosuke_2006 | 2007-10-28 22:56 | 留之助ブラスター