Monsters and Misfits展、アーティスト来日断念。
オバマ大統領が福島第1原発の半径80キロ圏内に住むアメリカ人に避難勧告を出したり、大使館職員家族の自主的な国外退避を許可したのだから、当然、この時期に日本旅行をしようなどと考える酔狂なアメリカ人(外国人)はいないだろう。
それは4月13日から飛騨高山の国指定重要文化財日下部民藝館で開催されるMonsters and Misfits(モンスターズ・アンド・ミスフィッツ=怪物と不適応者たち)展の3人のアーティスト、Kathie Olivas(キャシー・オリヴァス)、Brandt Peters(ブラント・ピータース)、Chris Ryniak(クリス・ライニャック)にとっても同じことがいえる。
ここ数ヵ月、3人は日本で最初の展覧会のために、どれほどのエネルギーを注いできたことか。
実際、彼らから送られてくる作品画像を見るたび、並々ならぬ意欲を感じた。
会心の作、最高傑作。
これまで彼らがアメリカを含む海外で開催したどの展覧会のいかなる作品よりも濃密で、感動に震えることさえあった。
Monsters and Misfits展は会場の特異性と相まって、素晴らしくユニークなものになると確信させられた。
そう、東北を地震と津波が襲ったあの日まで飛騨高山の旅を楽しみにしながら、最近は日本で使う名刺をデザインしたり、ファンたちへのギフトの心配までしていた3人だったのだ。
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代表のブラントからは悩み抜いた結果のメールが送られてきた。
こういう先行き不透明な時期ゆえ来日は断念せざるをえないが、展覧会の開催については全権を店主に委ねるというのだ。
オプションは4つあった。

1.アーティスト不在のまま、展覧会は予定通り開催する。
2.オンラインでのみ作品を紹介し販売する。
3.展覧会を延期する。
4.展覧会はなかったものとし、全作品を次回開催予定のアメリカもしくはカナダの展覧会に転用する。

もちろんオプション-1を選んだ。
なにかと自粛ムードの日本だけれど、それには相応の理由や事情があるだろう。
そのことについて異論を唱える気は微塵もないが、店主は展覧会を実行する。
日本から小さいながらも明るい話題を、自らの手でひとつ消してしまうのはよそう。
むしろこの展覧会をTOYS HELP USのメイン・イベントにして、少しでも被災地救済に貢献できたら、それはそれで素晴らしい。
展覧会と同時期に開催予定の春の高山祭は、いまのところ自粛される予定はない。
観光客は激減するだろうが、いつものように厳かに神事は執り行われる。
同じく展覧会場となる日下部民藝館も例年のように混み合うことはないだろう、しかしMonsters and Misfits展は、静かに、確実に開催する。
日下部民藝館々主、日下部勝氏にもさらなるご理解をいただき、もちろんキャシー、ブラント、クリスの大いなる協力で展覧会カタログの一般販売分の売上げ全額と作品の収益の大半を義援金に回すことができそうだ。

ついいましがた、USPSからキャシー名義の最初の荷物3点が送り出された旨のメールが届いた。

Kathie, Brandt and Chris, We really appreciate your concern and support.
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お願い・4月12日夕方に予定していましたレセプション・パーティーは中止となりますが、その日、準備中の民藝館をそっと覗きに寄っていただくのは大歓迎です。
by tomenosuke_2006 | 2011-03-18 14:02 | 留之助イベント
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