82年版スタント・ブラスターの第一世代コピーを入手しました / 1
The cast of the first generation of 1982 Stunt Blaster / 1

マイク・スミッソンからFBメッセージが届いたのは去年の暮れでした。
近作では『デッドプール2』でジョシュ・ブローリン演じるヴィラン、ケーブルのメイクを担当したバリバリ現役のスペシャル・メイクアップ・アーティストで、彼とは1990年に『ラバーヘッド』のスティーブ・ジョンソンを介して知り合い、その翌年に東京で仕事をしてもらった仲です。
ここ何年かはマイクが主催するFBグループ "MakeUpMedia Archives" でハリウッド界隈の怪物事情を覗き見する程度だったんですが、突然メッセージが届き、その内容に心底たまげたのでした。
マイク曰く、留之助ブラスターの噂は聞いていたけれど、その製作者が20数年来の友人だったとはいまのいままで知らずにいた。
で、そういう君なら、これから話すことに興味を持つにちがいないはずだ。

話は前後しますが、11年前、留之助ブラスターの開発に着手した時のことです。
2009年のハリウッド・オークションに出品された実物のブラスターを現地で取材するよりもまえ、原型師の徳信尊さんが頼りにした資料が3つありました。
ひとつは2006年のワールド・コンでブラスターが初めて一般公開された際、所有者の許可を得てカール・テイト氏が撮影した数百点にのぼる克明な画像であり、もうひとつが本物のシュタイヤー・マンリッヒャー・ライフルのパーツを型取りして造られたリチャード・コイル氏のガレージモデルでした。
そして3つ目が"投げ捨てプロップ"とも呼ばれる”スタント・ブラスター”のレジン製キャストだったのです。
後者はeBayで入手したモノで、おそらく三世代か四世代目の複製なのでしょう、収縮変形もはなはだしく、一見なんの価値もなさそうに見えましたが、徳さんにとっては、グリップや両サイドのシリンダー・カバーの形状に関して、これ以上ない情報源となったようです。
いまでは幻の留ブラといわれているガレージモデルの"OG"は、そんな3つの資料を元に生まれました。

さて、マイクからのメッセージは、興味津々の内容でした。
かつてeBayを賑わせたスタント・ブラスターの粗悪なコピー品は、『ブレードランナー』撮影終了直後、ある人物からオリジナル・スタント・ブラスターを借りて、マイク自らキャストした3つの複製(第一世代コピー)のうちのひとつが元になっており、オリジナルの持ち主にお礼がわりに提供したものがそれだと言うのです。
つまり第一世代コピーが、さらに複製され、そのコピーがまた別のコピーを生み、巡り巡って留ブラOGの資料にもなったというわけです。
あとのふたつはそれぞれマイクと彼の弟が所有し、シリコンモールドは経年劣化で廃棄されましたが、現物はいまも健在で、もし興味があるなら自分のものを留ブラと交換してもいいと言うのです。
つまりそれが突然のFBメッセージのワケなのでした。
せっかくの申し出を、もちろん断る理由などありません。
しかも誰が、どのようにしてオリジナル・スタント・ブラスターを手に入れ、マイクに貸したのか、その経緯を聞けば聞くほど面白すぎて、1日も早く第一世代コピーを手にしたいと思ったのでした。
ちなみに下の画像が、マイクからのメッセージに添付されていたものです。
こんなのを見せられたら、完全にノックアウトでしょうに。
つづく
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次回予告
便宜上、"オリジナル・スタント・ブラスター"と表記しましたが、マイクからのメッセージには終始"ストーラン・ブラスター"、つまり"盗まれたブラスター"という呼び名が使われていました。
すでに35年以上が経過し、窃盗罪の時効も成立しているだろういまだからこそ明かされる真実。
というわけで次回は、誰がオリジナル・スタント・ブラスターを、どこで、どうやって盗み出したのかを明らかにしたいと思います。

by tomenosuke_2006 | 2018-05-01 04:52 | 留之助ブラスター
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