あとはインナー・メカニズムの納品を待つだけ
Waiting for delivery of inner mechanism

画像では判別しにくいのですが、どのクリアヘッドも頭頂部から下に向かって濃くなるグラデ染めです。
mstoysjapanさんにムリ言って染めてもらいました。
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それにしてもここに至るまでに3年以上かかるとは思ってもいませんでした。
トーマス・ノスケの最初期デザインは、ツルンとしたのっぺらぼう風クリアヘッドの中に脳髄が見えるというもの(下のコンセプト・デザイン-1)。
もともと透明の頭が基本だったのです。
が、とりわけ脳髄の取り付け方法に苦慮し、クリアヘッドはいったん取りやめて、よりキャラクター性のある顔をデザインしてもらい、しばらくインナーは作らないことに決めました。
つまりフル塗装版のモービアス “ティール” エディションまで全8種類を首尾よく売り切ったあとで、さらに開発費をかけてクリアヘッド版を出すことにしたのです。
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▲ Concept design - 1

インナーメカ入りクリアヘッド版の発売を見込んで、第5弾のアルテア・エディションと第6弾のクレール・エディションを除く、すべてのシリーズをそれぞれ12個余分に作り、保管し、一方でインナーメカの製作を進めることにしました。
しかしそこからが長かった。
早い段階で、ドクターAからロビー・ザ・ロボットに似たカラダに、リベットが吸盤にも見えるタコのような足をつけた素晴らしいデザイン(下のコンセプト・デザイン-2)が届いたのですが、それを実現するためには構造的な問題があり、スムーズに計画を進めることができなかったのです。
とりわけインナーの足を見せようとすれば、おのずと外側の足はクリア仕様となり、けれどクリア材は通常のソフビよりも柔らかいため、胴体の重さに耐えきれずに変形するだろうというのが大きな理由でした。
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▲ Concept design - 2

次に届いたのはインナーの足を取り除いたデザイン(下のコンセプト・デザイン-3)でしたが、まだ問題はありました。
ドクターAの絵を忠実に踏襲したインナーでは、頭のオスカンチャクの受けとなる胴体上部の大きな穴を使っても、インナーを中に入れることができないのです。
せっかくクリアヘッドとインナーメカを使ったバージョン用に12個ずつ余分に作ったトーマス・ノスケが6種類もあるというのに、計画は完全に暗礁に乗り上げてしまいました。
その後、12個 x 6種 = 72個の在庫の一部は福箱に使い、今年になって銀鏡塗装版をはじめ、ピッチング塗装版ゴールド&オレンジ版といったカスタムノスケに充て、トーマス・ノスケを過去の産物にするのだけは食い止めようと必死でした。
と、同時に、本体の原型を担当してくれたMirock-Toyの金子洋平くんには、インナーメカの製作に挑戦してもらうことにしたのでした。
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▲ Concept design - 3

インナーの出し入れの問題を解消するために、クリアヘッドから見える頭と胴体の上部にだけディテールがあればいいからと、手のない原型(下の原型画像 - 1)を作ってもらいました。
そのころになるとクリア版用に余分に作っておいたトーマス・ノスケも数が減り、その数に合わせてオビツさんにはクリアヘッドだけの製造をお願いしました。
また、インナーについてはコストのかかるソフビ製から少ロット対応のレジン製に仕様を変更。
完成した原型を、留ブラのレジン・パーツでお世話になっているコスモ・リブレさんに見てもらうと、インナー1個の重さが300グラム以上になると知らされ、計画の甘さに愕然となったのでした。
重過ぎて、これまたトーマス・ノスケの足がもたないのです。
そこでソフビ製に路線を変更。
変更するならばと、またメラメラと欲が出て。
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▲ Prototype sculpture - 1

クリアヘッド用のインナーとはいえ、洋平くんの彫刻は見えない部分にまで手が加えられ見事過ぎて、もったいないと思っていたらレジン不可となり、だったらソフビの特性を最大限に活かしたインナーに改造してもらうことにしました。
いつかクリアの胴体を使ったバージョンにも対応できるよう、ドクターAのコンセプト・デザイン-3に限りなく近い、手も、その他のディテールも追加した上で、胴体上部の穴から力ずくでも押し込むことができるサイズのインナー。
そんな留之助のムチャぶりにも、洋平くんは淡々と応じてくれたのでした(下の原型画像 - 2)。
胴回りの丸みを削ぎ落とし、腕を縮小して角度を変えたとはいっても、バランスのとれた申し分ない美しさ。
初めから、こうすればよかった・・・。
原型が完成すると、さっそくオビツさんに送り届け、9月初め、蝋型から成形型の製作に入ってもらったのでした。
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▲ Prototype sculpture - 2

クリアヘッド採用のトーマス・ノスケに入れるインナーが納品されるのを、いまかいまかと待っています。
早ければ今月末、"Thomas Nosuke Reborn" のタイトルで紹介できるのではないかと思っています。
お約束でドクターAにAPを提供したり、もちろん留之助も1個ずつはコレクションしたいので、販売できるのはあまり多くありませんが、楽しみにお待ちくださいね。
by tomenosuke_2006 | 2021-11-13 21:54 | 留之助オリジナルモチャ
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