『月光仮面』 マンモスコングの巻
"Moonlight Mask vs. Mammoth Kong" (1958) the first Japanese TV hero

日本のTVヒーローの元祖といえば、武田薬品の提供で1958年2月に放送が始まった『月光仮面』です。
60年以上もまえ、留之助少年が無我夢中になった冒険活劇シリーズで、詳しくは知らないけれど、名前だけは誰もがみんな知っていることだと思います。
TVで人気を博すと、ラジオ・ドラマ化されたり、同じ川内康範・原作、井上球二・漫画の貸本版(レンタル漫画雑誌)や、桑田次郎の躍動感溢れる絵がカッコいい連載漫画が月刊雑誌『少年クラブ』の巻頭を飾ったり、東映が映画化もしました。
オートバイにまたがった月光仮面のブリキのオモチャ(モナカ成形)をはじめ、セルロイド製のお面(すぐ割れる)とビニールのマント(すぐ破れる)と空気鉄砲(すぐ穴が開く)の豪華3点詰め合わせの月光仮面なりきりセットや、双六や絵合わせや、そりゃぁもう、関連グッズも無数に発売されました。
あとで知ったのですが、まだマーチャンダイジングなんていう発想がなかった時代、月光仮面の企画制作会社の宣弘社は宣伝になるからという理由で、月光仮面の意匠を自由に使わせていたっていう話です。
じつに呑気な時代でした。
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TV版の平均視聴率は40%、最高視聴率は67.8%(東京地区)を記録するくらい超弩級の大ヒットで、少年なら一度や二度は風呂敷をマント代わりに首にかけ、月光仮面ごっこをしたものでした。
そんな子供たちが月光仮面の真似をして高所から飛び降りて大怪我をしたり、死亡するといった事故が続発し、しまいには新聞や週刊誌から有害番組だと烙印を押されて、あえなく放送が打ち切られたのでした。
これぜんぶ、1958年から59年のたった2年のあいだに起きた怒涛の出来事だったのです。
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そのころ父親が買ってくれた絵本が『月光仮面 マンモスコングの巻』でした。
ぜんぶで5部130話が放送されたTVシリーズのうちの第3部が『マンモスコング』で、シリーズ中もっともSF色が濃く壮大なスケールの対怪獣物語を、湯川久雄がリアルかつグラフィカルな12ページに及ぶ絵で見事に要約していました。
貸本版『月光仮面』と同じ鈴木出版製で、長年、留之助の物置に『少年探偵手帳』や『西部劇とピストルのことならなんでもわかる手帳』といっしょに片付けられていたのですが、いまそれを取り出し眺めながら、南極から日本に連れて来られた世紀の怪獣を、湯川久雄のタッチで無性に立体ソフビ化したくなっているのでした。
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by tomenosuke_2006 | 2022-02-20 23:17 | 留之助オリジナルモチャ
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