縮みゆく留ブラ、その10
The incredible shrinking Tomenosuke Blaster part 10

ピストル・グリップのチェッカリングといえば、徳信尊さんが得意とするところです。
例えば留ブラのグリップは、2009年にオークションに出品された実物のデッカード・ブラスターを手に取り観察しただけでなく、チェッカーの数、角度、深さ、長さを一筋づつ検証した記録と、あらゆるアングルから撮った画像を元に再現されています。
この完成度の高さはレプリカ・ブラスター製作のパイオニア、Richard Coyle(リチャード・コイル)氏が、ある時から留ブラのグリップをそっくり型取りして自作のブラスターに応用していることでも分かります。
コピーを承諾したのには理由がありました。
というのも、かつて留ブラの最初期ガレージ・モデル(ホワイトメタル+レジン製)を製作した際、コイル氏のブラスターのボルトハンドルの裏側の刻印(実物のマンリッヒャー・ライフルのもの)を彼の了解を得てコピーさせてもらった見返りに、後日、グリップの複製の許可を求められたからでした。
ちなみにその刻印は、実物のデッカード・ブラスターのものとは文字列や位置が異なり、ガレージ・モデルから工業製品化の留ブラPROに移行する際、丸ごと造り変えました。
話が横道にそれちゃいましたが、この度、めでたく留ブラ・チビのグリップ製作が完了したのです。
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画像-1/気泡があるためオミットしたエラー・グリップを捨てないでおいたのですが、こういう時に役立ちます。一部を切除し、薄板を用意します。
画像-2/Lグリップのチェッカーを消す部分をスライス加工します。
画像-3/削り取られた部分に、エラー・グリップから作った薄板を接着し、面を揃えます。
画像-4/グリップのチェッカリング用固定治具の製作。樹脂ブロックにねじを切り、スプリューを挿入します。
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画像-5〜6/治具、スプリュー、スプリュー専用挿入工具など。
画像-7/スプリューを取り付けた治具。
画像-8/治具に取り付けたRグリップ。
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画像-9〜10/チェッカリング・ツール2種。
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画像-11/画像-3で薄板を盛って面を揃えたグリップにチェッカリングを施していきます。徳さん曰く「彫りながら線を整える作業」です。
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画像-12〜14/チェッカリングが終わった両グリップ。
画像-15/艶を出すため、バフ研磨します。
 縮みゆく留ブラ、その10_a0077842_12140231.jpg
画像-16/バフ研磨が終わった両グリップ。この後、ネジ穴に留ブラで使っている六角穴付キャップ・スクリューを嵌め込み、チェッカー部分をクリアラッカーで養生して、型取り用のグリップを完成させます。
じつは留ブラ・チビのレジン・キットは組み立ての手間を最小限に抑え、同時に販売価格をできるだけ安くするため、いろいろ知恵を絞っています。
たとえばこれまでのレジン・キットとは異なり、グリップ取り付け用のネジは使わず、ネジの頭をグリップのネジ穴にモールド化し、グリップを本体フレームに単純に接着する仕様にしました。
その他、ウェバースコープノブやボルトトップのセンターピンなどは本体と一体化させ、パーツの数も極力減らす予定です。

留ブラのヘビー・コレクターさんから「なぜレジンキットの原型に、そこまで手間をかけるのですか? もしやフルメカニズム内蔵のモデルガンを造るつもりなのですか?」なんて訊かれました。
いえ、あくまでも無可動のレジン製キットのために、ここまで徳さんが打ち込んでいるのです。
またこの原型を組立・分解できるようにしたのは、いずれ製品化予定の留ブラ・ソフビのパーツの分割を考慮してのことでした。
レジン製キットの型取りが終わり、キャスト工場から原型が戻ってきたら、それを元にソフビ作家の金子洋平くんと徳さんの共同作業が始まります。
ソフビ版の方は来年度中に製品化できたらと思っています。
最後に徳さんから送られてきていた留ブラと留ブラ・チビの原型の比較画像を貼っておきます。
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 縮みゆく留ブラ、その10_a0077842_13180566.jpg

by tomenosuke_2006 | 2022-10-09 20:24 | 留之助ブラスター
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