リパブリック連続活劇ロボット、またの名を給湯器型ロボット
The Classic Republic Serial Robot AKA The Water Heater Robot

とても気が合うモチャ・メーカー Executive Replicasから、彼等らしい超マニアックなフィギュア、にしては隙間を狙いすぎというか、世界でいったい何人の人が欲しがるんだろうかと、いらぬ心配までしちゃう新製品の案内が届きました。
・・・と、ここまで書いて、留之助が必死に準備中のマンモスコングの方が一段とニッチで、他人の心配なんかしてる場合じゃないと、ふと気づいたのでした。
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とにかく、1930年代後半から1950年代前半のアメリカで、少年たちを熱狂させた低予算連続活劇映画専門スタジオ Republic(リパブリック)の主だったSF冒険物に、繰り返し登場した厚紙を筒状に丸めてこしらえたようなウォーターヒーター(給湯器)型首なし寸胴ロボットが、1/6と1/12の2種類のスケールで発売されると聞いて、最初は耳を疑ったのでした。
ちなみに「連続活劇」とは、12〜15話で完結する1話約30分の主に子供向け作品で、テレビがまだなかった時代、週替わりで連続上映された映画のこと。
別名「クリフハンガー」ともいいます。
しばしばヒーローが崖からぶら下がったような万事休すの、続きを観ないではいられないシーンで終わるところから、「崖にぶら下がるもの」つまり「クリフハンガー」と呼ばれるようになったのです。
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Undersea Kingdim(1936年)邦題『海底下の科学戦』
上が映画史最初の給湯器型ロボット
下が上半身裸で活躍するヒーローのクラッシュ・コリガン

給湯器型ロボットのスクリーン・デビューは、1936年の12話からなる上映時間325分の "Undersea Kingdim" でした。
この作品はアメリカ公開の翌年に、70分に編集されて『海底下の科学戦』というタイトルで日本でも上映されています。
ご都合主義の極みのようなストーリー。
アトランティス大陸が海底に沈んでできた王国の住人のうち、「人工地震装置」で地上の征服を企む一団が、それを阻止せんと「地震防止光線器」を携えロケット型潜水艇に乗ってやって来た勇気の人クラッシュ・コリガンを迎え撃つ。
そこで動員されるのが給湯器型ロボット軍団なのでした。
それにしても頭から伸びる3本のホースが、給湯器に取り付けられている給排水用パイプのようでもあり、一連の給湯器型ロボットの中でもとくに湯が沸きそうな佇まいでした。
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Mysterious Doctor Satan(1940年) 日本未公開
上が2代目のアップグレード版給湯器型ロボット
下が金属メッシュのマスクを着けたヒーロー、カッパーヘッド

"Undersea Kingdim" の給湯器型ロボットが、今度は4年後の "Mysterious Doctor Satan"(15話構成・上映時間403分)でリサイクルされました。
頭の給排水用パイプを取り外し、蛇腹の脚の膝から下をメタル風のブーツにしたアップグレード版。
これが50年代までずっと使い回しされる給湯器型ロボットの決定版となります。
要人殺人事件を捜査する仮面のヒーロー、カッパーヘッドに、世界征服を企むサタン博士が造った殺人ロボットが奇襲をかけます。
一説によると50年代に大ヒットしたリパブリックの連続活劇ヒーローにして、ジェットパックに弾丸型マスクを着けた空飛ぶ突撃兵コマンド・コディの原型が、カッパーヘッドだと言われています。
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Zombies of the Stratosphere(1952年)
TV邦題『ロケットマン』
空飛ぶヒーロー、コマンド・コディ vs. 給湯器型ロボット
ロボットの武器がマサカリというところがリアルに怖い

我らが空飛ぶヒーロー、コマンド・コディの1952年の記念すべきデビュー作 "Zombies of the Stratosphere"(12話・上映時間384分)と、翌年公開の続編 "Commando Cody, Sky Marshal of the Universe"(12話・上映時間360分)にも給湯器型ロボットがそれぞれ1台ずつ登場しました。
日本では1960年代に『ロケットマン』のタイトルでテレビ放送され、必ず最後の1分でヒーローやヒロインが絶体絶命の危機に陥り、to be continue(次回に続く)という字幕で終わる連続活劇(クリフハンガー)の手法に、すっかり夢中になってしまったものです。
いうまでもなくジョー・ジョンストン監督の『ロケッティア』(1991年)のモトネタになったことでも有名。
1作目には『スター・トレック』のスポック役でブレークする当時若干21歳のレナード・ニモイが、非情な火星人役で出演しています。
これ、ニモイがクレジットされた最初の映画でもあります。
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Commando Cody, Sky Marshal of the Universe(1953年)
TV邦題『ロケットマン』
ヒーロー、コマンド・コディ vs. 給湯器型ロボット

ちなみにこのロケットマンは9年前に同じExecutive Replicasで1/6フィギュア化され、留之助でもけっこう売れて、1、2個、大事にとってます。
なので今度の給湯器型ロボットも1/6版を仕入れ、留之助コレクションのロケットマンと並べて飾るつもりです。
ロケットマンといえば、1953年に同名の79分1話完結の便乗作 "Rocketman" がアメリカ公開されています。
経緯は不明ですが、この映画のロケットマンは1951年の20世紀フォックスの名作『地球の静止する日』の宇宙からの使者クラートゥがかぶっていたヘルメットを着けて空を飛んだりしました。
流用したり、再利用したり、再生可能な映画作りが盛んだった時代のお話です。
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作り込みが過ぎるような気がしないでもないExecutive Replicasの給湯器型ロボットですが、"Zombies of the Stratosphere" のマサカリが付属します。
というわけでとりとめもなくレトロ映画の話をしてきましたが、ついでに給湯器型ロボットの影響を受けたり、オマージュを捧げた兄弟ロボットを以下に紹介して終わりにしたいと思います。
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日本のテレビ番組『遊星王子』(1958〜59年)
ヒーローに敵対する給湯器型ロボット似のロボット兵
『月光仮面』の製作会社「宣弘社」の作品

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留之助推しのHなスペオペ『フレッシュ・ゴードン』(1974年)
股間にスクリューを装備したレイプ・ロボット・トリオ
著作権者から許諾がとれるならぜひソフビ化したいヤツ


by tomenosuke_2006 | 2023-07-13 16:27 | Sci-Fi Classicモチャ
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