『月光仮面』生誕65周年記念ソフビ・マンモスコング、キグルミ役者さん
"Moonlight Mask" 65th Anniversary Sofubi MAMMOTH KONG: suit actor

テレビ放送黎明期の1958年から1959年に、平均視聴率40%を誇った連続テレビ映画『月光仮面』。
全5部作られたうち、『マンモスコングの巻』は11話構成の第3部にあたり、1959年に放送されました。
何度も話してきたことですが、テレビの前にかじりつき、月光仮面の活躍に興奮したり、マンモスコングの猛威に恐れ慄いたのは、留之助が小学1年の時。
巨大怪獣の存在を信じ込むにはもってこいの年頃でした。
それからしばらく経って10代半ばのころ、再放送を観た時には、まったく別の理由で感動したものです。
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巨大なマンモスコングの足元でうろつく国際暗殺団の面々や、マンモスコングの頭にまたがり急所の角を切断しようと奮闘する月光仮面が、目を凝らして見るまでもなく、ちゃちなマリオネット人形だったことが分かったり、いちばん微笑ましかったのは大きな口を開けて咆哮するマンモスコングの、その口の中にキグルミ役者さんの顔が見えたことでした。
大人目線で接したマンモスコングは、すっかり騙された子供のころの自分を愛おしく思い出させてくれたばかりか、あの時代に乏しい材料で精一杯リアルなキグルミを手作りし、あるいはそれを演じたのは、どこの誰だったのだろうかと、新たな興味を抱かせてくれたのです。
いつしかマンモスコングの裏方さんに、憧憬の念すら感じるようになったのです。
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ソフビ・マンモスコングの大きな口の上の歯と下の歯の隙間はくり抜いて、そこからキグルミ役者さんの顔がチラッと覗くようにしたい。
もちろんマンモスコングの頭を取り外したら、そこには役者さんの顔があるようにしたい。
それはmirock-toyの金子洋平くんに原型をお願いする前からの企みでした。
その結果が、首の特殊な二重カンチャクだったのです。
キグルミ役者さんについては、すでにリサーチは済んでいました。
しかもその人がマンモスコングのキグルミそのものも自作していたのです。
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まるでアカデミー・メイクアップ賞を7回も受賞したスペシャル・メイクアップのトップ・アーティスト リック・ベイカーの日本人版、いや、こちらの方が先駆者。
ベイカーが1976年の『キングコング』でタイトルロールの巨猿を自作自演するより18年もまえ、東宝の大部屋で出番を待つ無名の俳優さんがマンモスコングのキグルミを作り、自ら演じていたのです。
その人の名は高木新平(1902年 - 1967年)さんといいます。
黒澤明監督の『七人の侍』(1954年)をはじめ、『蜘蛛巣城』(1957年)や『用心棒』(1961年)に出演もされています。
中でも高木さんの最も印象に残る出演作といえば『七人の侍』で、農村を襲う野武士たちの頭目役(下の画像)を熱演していらっしゃいました。
映画のクライマックスで三船敏郎演じる型破りな侍、菊千代と相討ちする壮絶シーンは忘れられません。
そんな方が『蜘蛛巣城』と『用心棒』の間に『月光仮面』で大暴れしていたのでした。
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マンモスコングは、それが原作者の川内康範先生なのか、あるいは高木新平さんの発案だったのかは定かでありませんが、レイ・ハリーハウゼンのモデルアニメ・ファンタジー『シンバッド七回目の航海』(1958年)のひとつ目一角獣サイクロップス(下の画像)の影響を受けていたのは明白です。
長い体毛に2本の牙が特徴のマンモスと、電車を軽々と持ち上げる巨体で怪力のキングコングに、さらにサイクロップスの角を移植して、これほど欲張りな怪獣はそうそういません。
サイクロップスの立派な角が見せかけだけのもので、それを武器に闘うこともなければ、何か特別な意味があったわけではないのに対し、マンモスコングの角はリモコン操縦の受信機の役目を果たし、唯一最大の急所だったりして、アイディアも一枚上手を行ってました。
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マンモスコングを演じていた時の高木新平さんの写真でもあればよかったのですが、参考資料は一切見当たらず、すべては空想で作るしかありません。
『七人の侍』の野武士の頭目のしかめっつらに、頭は手拭いの喧嘩かぶりにしてほしいと、洋平くんにはお願いしました。
いつもは原型彫刻にケミカルウッドの "サンモジュール" を愛用している洋平くんですが、高木さんの顔に限り、インダストリアルクレイ "NSP" を使って彫り上げました。
さらに細密な表現が可能だという理由からです。
縦5センチに満たない小さな顔に、ありったけの情報を詰め込んで、高木新平さんが完成。
これでソフビ・マンモスコングの原型が、すべて揃いました。
炎天下の東京で洋平くんと合流し、粘土でできた高木さんの頭の彫刻が溶けるのを心配しながら足立区六木の工場を訪ね、原型の引き渡しを済ませたのは、ちょうど1週間前の7月18日のことでした。
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by tomenosuke_2006 | 2023-07-25 10:08 | 留之助オリジナルモチャ
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