ウォーホルの "燃える平原児" ダニーです
AVAILABLE Q2 2024: Andy Warhol 8" Elvis Dunny

Kidrobotからザ・ローリング・ストーンズ・8インチ・アイコン・ダニー "女たち" 発送の知らせを受け取ったと思ったら、まるで入れ替わるように新作ダニーの案内が届きました。
しかも好きなヤツ。
エルヴィス・プレスリー主演の西部劇『燃える平原児』(1960年)の宣伝スチール(下)を下敷きにしたと言われる、ウォーホルのあの有名な2種類のシルク・スクリーン『ガンスリンガー・エルヴィス』を、ダニー・プラットフォームの表と裏に転写した、待ってましたの作品です。
ご存知ですか、ウォーホルの一連の肖像画の中でも、全身像を描いたのはこの『ガンスリンガー・エルヴィス』だけなんですよ。
ウォーホルの \"燃える平原児\" ダニーです_a0077842_19510001.jpg
『燃える平原児』は他愛ないミュージカル・コメディにすっかり嫌気がさしたエルヴィスが、演技派を目指して出演した本格西部劇で、ドン・シーゲルが監督しました。
ドン・シーゲル(1912-1991年)といえば、サム・ペキンパーをアシスタントに『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』(1956年)を撮ったというだけで大好きですが、『真昼の死闘』(1970年)や『ダーティハリー』(1971年)や『アルカトラズからの脱出』(1979年)といったクリント・イーストウッド映画を監督した超硬派にして激しく暴力的なところが大の憧れです。
早撮りの名人でもあり、脚本段階から入念な打合せを繰り返して作品のイメージを固め、撮影現場では無駄なショットを一切撮ることが無い堅実派。
そんな効率的な演出にじかに接して感銘を受けたのがイーストウッドであり、彼こそはドン・シーゲルの映画術を継承している稀有な現役監督なのでした。
ウォーホルの \"燃える平原児\" ダニーです_a0077842_19592776.jpg
で、エルヴィスとシーゲルがタッグを組んだ西部劇『燃える平原児』では、エルヴィスの歌声が聴けるのは映画冒頭での2回のみ。
物語は白人の父親と先住民の母親から生まれたハーフの主人公(エルヴィス)が、いったい自分は何者なのかと苦悩し、自己喪失し、混乱し、銃を抜き、差別が引き起こす死闘に巻き込まれ、底なしの悲劇へと堕ちていく様を描いています。
という意味でも、邦題『燃える平原児』は当時のエルヴィス・ファンに変な期待をもたせてしまったことでしょう。
ミュージカル・ウェスタンを想像して、肩透かしをくらった人が大勢いたと思います。
原題は『Flaming Star(輝く星)』。
先住民が死の間際に「輝く星を見る」という伝説に由来しています。
で、白人の夫を愛したゆえに苦しみ、ついには白人の凶弾で瀕死の重傷を負うカイオワ族出の母親(メキシコの名女優ドロ・レス・デル・リオが演じていた)の、死に際のセリフ「死の星が燃えるのを見た」「いつか偏見の無い時が来る」に重なります。
今度の8インチ・エルヴィス・ダニーには、そんな物語が背景にあることなどを思い浮かべながら愛でたいと思うのでした。
500個限定、入荷は2024 年第2四半期の予定です。
ウォーホルの \"燃える平原児\" ダニーです_a0077842_19510399.jpg

by tomenosuke_2006 | 2023-12-04 19:32 | Kidrobot 新製品情報
<< 懸田阿也さんのアート・プリント... 留ブラの次なるフェーズ - 4 >>