2009年発売の『ブラックホール』30周年記念ビンセント、蔵出し
THE VAULT: V.I.N.CENT. The Black Hole 30th Anniversary Edition

ディズニー映画があまりパッとしなかった1970年代終わりに、映画製作担当副社長のロン・ミラーが先陣に立って作ったディズニー初の本格SF映画が『ブラックホール』でした。
このロン・ミラーという人、1950年代にロサンゼルス・ラムズでプレーしていた元フットボール選手で、ウォルト・ディズニーの娘ダイアンと結婚し、試合で負傷したのを知ったウォルトの勧めでディズニー・プロに入社、ショーマンとしてのキャリアをスタートさせたという異色の経歴の持ち主です。
1960年代半ばには役員会のメンバーに昇進し、テレビや映画のプロデューサーとして活躍。
1980年には代表取締役社長に就任し、1982年の『トロン』では製作総指揮を務め、1983年には最高経営責任者になりましたが、1984年に社内クーデターが勃発して失脚退陣しています。
で、留之助はちょうどそのころLAにいたので、ディズニー・プロで起きていた激しい変革を見聞きすることができました。
中でもロン・ミラーがファミリー色の強いディズニー映画とは異なる、大人向け実写映画レーベル、タッチストーン・ピクチャーズを設立した時は、大いに期待したものです。
その新レーベルの第1弾がロン・ハワードの監督2作目で、ダリル "ブレードランナー" ハンナが絶世の人魚姫を演じた1984年の大ヒット作『スプラッシュ』でした。
しかし他の役員からウォルト・ディズニーの伝統を損なうと猛反発をうけ、クーデターへと発展していったのでした。



さて、1979年公開のディズニー初の本格SF映画『ブラックホール』ですが、主要登場人物がマクシミリアン・シェルやロバート・フォスターやアンソニー・パーキンスやアーネスト・ボーグナインといった渋すぎる役者さんばかり、と思えば主人公たちと行動を共にする働き者のロボット ビンセントが、ディズニー慣例の子供向けキャラクターそのもので、ちょっとチグハグがすぎたかも。
ただし超大型宇宙船シグナス号の精密模型、マットペインティングの美しさなどは格別で、いまとなっては反重力ホバリング装置で空中を移動するビンセントも懐かしさが先に込み上げ、許しちゃうのでした。
ということでモチャの話です。
今回、蔵出しするのは『ブラックホール』公開30周年の2009年にMINDStyeleからリリースされた2台のビンセントです。
ひとつは丁寧にウェザリングを施した300個限定のオリジナル・カラー版のうちの1個。
もうひとつは2010年公開の『トロン: レガシー』にインスパイアされてトロン・カラーで仕上げられたビンセント・トロン版、同じく300個限定のうちの1個です。
全高9インチ(228ミリ)の堂々たるサイズは、映画公開当時、アメリカのプラモデル・メーカー MPC から発売されたビンセントとほぼ同じですが、ディテールは後発だけにいっそう精密です。
Medicomや最近ではSuper7からも出ていたと思いますが、大きなMINDStyele版ビンセントの圧倒的勝利です。
そういえばMPCのビンセントと敵方のロボット マクシミリアンと敵方の宇宙船シグナス号のキットが、映画公開45周年を記念して再販されるという話を去年の夏に聞いたのですが、どうなったんでしょう。
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by tomenosuke_2006 | 2025-03-16 23:33 | MINDstyle 新製品情報
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