ささやかな夢、大きなシッコ・・・もとい、嫉妬。
パルス療法やステロイドの錠剤プレドニンが効くと腎機能が活発になり、尿に“漏れ”出ていたタンパクが減りはじめる。
減ると血清のアルブミン濃度が上がり、上がると血液のバランスが保たれ、血そのものに張りが出て、血中の水分が毛細血管から“漏れ”出なくなる。
なると同時に体内に“漏れ”出ていた水が吸収され、一度、血にかえり尿となり、浮腫みは消えていく。
これを「漏れの三変化」という、かどうかは知らないけれど、治療がうまくいけばウザイ浮腫みは、やがてオシッコとなり、小便器を経由して忘却の彼方へと消えて行くのだ。
ゆえに快方に向かっているかどうかを確かめる目安として、浮腫みの状態、もしくはオシッコの量がとりざたされる。
主治医の小田先生や担当医の新之介先生からは、ふたこと目には、オシッコの量について質問される。
看護師さんとの朝のあいさつも、もっぱら、オシッコ出てますかぁ、である。
ここにいると、オシッコは人生である。
排尿時は男子トイレの小便器に向かって立つが、大事なオシッコは便器にはぶちゃけない。
計量カップのようなプラスチックの容器に丁重に注いだのち、2リットルの畜尿ビンに移しかえる。
そのビンはトイレにしつらえられた棚に置かれ、朝、前日分が捨てられてカラになり、また畜尿の1日がはじまる仕組み。
患者として決められた日課といえば、これくらい。
なんと単純で、簡単過ぎる日々の連続だぁ。
トイレの棚には、もちろん他の患者の畜尿ビンもならんでいて、変化に乏しいこんな毎日だから、他人のオシッコを見て一喜一憂する人になってしまった。
同じネフローゼ症候群の患者なのか、あるいは別の病気で畜尿しているのか知らないけれど、なみなみと溢れんばかりに注がれた重そうな2リットルビンを目の当たりにしたりすると、心の奥底から羨ましく思うのだ。
大きなシッコに嫉妬する最近の私なのでした。
by tomenosuke_2006 | 2006-07-15 23:44 | ネフローゼ症候群
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