以前、ムカシモチャのカテゴリでスパイモチャについて3回ほど続けて書いたことがあったけれど、その結び“スパイモチャ/その3/ナポソロもの”で「スパイモチャからオッキモチャへ、店主の玩具道は果てしなく続く」みたいなこと言って、そのまんまにしていたことを思い出した。
で、続きを。 ![]() 1960年代当時、つまり店主が少年時代の海の向こうのオッキモチャは、単に大きいとうだけでなく、あらぬ造形で、存在感が並ではないところがよかった。 ベアブリックの1000%(高さ約70センチ)や20インチ・ダニー(高さ約50センチ)も、彼らの個性のまえではひれ伏すしかないのだ。 当店にはわずかにブリキ製のビンテージトイもあるけれど、ブリキノモチャは店主的にはすでに終わったと見なしている。 プレスよりはキャスティングにつきる。 高度で柔軟な表現力を有した化(バケ)学素材のプラスチックやソフビでできたキャスティング(鋳造)製品の方が店主の好みだし、そういう点からも60年代オッキモチャこそは、当時の新素材“プラスチック”によるかつてない色彩と形状と質感を得て、オモチャの新時代を体現したのだ。 デザイナーズトイの原点、オブジェモチャのご先祖さまなのである、絶対的に。 その大きさからいっても、彼らは単なるオモチャにとどまらず、ペットか家族の一員として迎えられるよう企画された。 たとえばマテルやヒューブレーのトイガン握って西部劇ごっこするのではなく、いっしょに暮らすオモチャ。 男の子が抱きかかえても、連れ歩いてもおかしくない、だけでなく、ひときわ目立って注目を集めるに十分なサイズ。 そういうオッキモチャが1960年代はじめに4種類、誕生したのだ。 それがロボット・コマンド、グレート・ガルー、キング・ザー、ビッグ・ルーだった。 (ロボット・コマンドは当店ホームページのトップに、グレート・ガルーは当ブログ右下のネームカードに、キング・ザーは同じく当ブログ右上のロゴに引用してます。それくらい好きってこと?) ![]() TV-CMから。左よりロボット・コマンド、キング・ザー、ビッグ・ルー。 最大手のマテルが女の子用にバービーを、男の子用にシューティングシェルのトイガン(ムカシモチャのカテゴリで紹介)を大ヒットさせていた1960年代はじめ、アイディアルとマルクスという二番手を競うライバル・オモチャメーカー2社が、男の子向けに投入してきたのがオッキモチャだった。アイディアルからは高さ46センチのロボット・コマンドが、マルクスからは57センチのグレート・ガルーが、まず1961年のクリスマス・シーズンにデビューした。 1961年といえば、ジョン・F・ケネディが第35代アメリカ合衆国大統領に就任し、近年で最も偉大な大統領就任演説を披瀝した年でもある。 「祖国があなたに何をしてくれるのか尋ねるのではなく、あなたが祖国に何ができるか自問してほしい」 オットット、きどうしゅうせい、軌道修正。 ロボット・コマンドは、君の命令どおり動く。 さぁ、マイクロフォン・リモコンに語りかけよ。 前進、右旋回、左旋回! ミサイルボール発射、ロケット発射! 目玉がつねに渦巻き回転しているのは、敵を見逃さないため。 後退のメカニズムは搭載されていない。 なぜならロボット・コマンドは決して敵に後ろ姿を見せないのだ。 (TV-CMのナレーションから抜粋) マイクロフォン・リモコンに向かって語りかけるというのは、厳密にはマイク(のカタチをしているだけ)に向かって息を吹きかけ、マイク内部の薄い金属板を動かして、電気回路の開閉を操作することにほかならない。 マイクロフォン・リモコンとロボットは、ロボット内蔵の駆動用モーター直結の電線と、さらに1本、カメラのレリーズのようなワイヤーでつながれ、そのワイヤーのプッシュ&プル操作でロボットに組み込まれたメカニズムのギヤを切り替え、すべてのアクションを制御する。 実態はスーパーロウテク、けど思い通りに動かすには慣れとコツを要した。 値段の14ドル97セントは、当時の家庭用21型テレビが150〜200ドルしたことを思えば、けっして安いとはいえないが、爆発的に売れた。 平和なアメリカのいたるところで、ロボット・コマンドの操作を競い合う少年たちがいた。 中には、将来、ベトナムの戦地へ駆り出されるとも知らず、マイクロフォン・リモコンに向かって「ミサイル発射!」と声を張り上げていたあどけない少年も。 そういう時代だったのだ。 つづく。 ![]() A Boy and his Robot Command/1962年の写真
by tomenosuke_2006
| 2006-10-09 00:29
| ムカシモチャ
|
カテゴリ
全体 留之助商店計画 商店入荷新着情報 書店入荷新着情報 留之助オリジナルモチャ 留之助ブラスター 留之助プロップレプリカ T+CPモチャ 留之助限定モチャ 留之助イベント イマモチャ チョイマモチャ ムカシモチャ Sci-Fi Classicモチャ PCモチャ ロウブロウアート プロップ 3DRetro 新製品情報 Adfunture 新製品情報 Artoyz 新製品情報 Coarse 新製品情報 Fools Paradise 新製品情 Kidrobot 新製品情報 Martian Toys 新製品情報 Mighty Jaxx 新製品情報 MINDstyle 新製品情報 Munky King 新製品情報 Superplastic 新製品情報 ToyQube 新製品情報 UVD Toys 新製品情報 モチャ行脚 TV・映画・ビデオ 投稿画像 MIDNIGHT SALE ネフローゼ症候群 タグ
ダニー
Erick Scarecrow
Frank Kozik
Brandt Peters
Doktor A
Kathie Olivas
徳信尊
留ブラPRO
YouTube
Joe Ledbetter
Andrew Bell
モンスター
Junko Mizuno
Gary Baseman
mirock-toy
Ron English
スター・ウォーズ
Sket-One
留ブラ2049
雑誌
本
Mark Landwehr
Shon
kaNO
アンクルタイプ
トーマス・ノスケ
展覧会
Chris Ryniak
mr clement
スモーキンラビット
東京コミコン限定
Disney
ポスター
Jakob Stærmose
ミミ・ザ・カニバル・ガール
ブレードランナー
マンモスコング
Huck Gee
Andy Warhol
月光仮面
恐竜
Amanda Visell
セール
ロボット
キャップ・ダック
ヌイグルミ
怪物と不適応者たち 2
比嘉Bros.
1/6アクションフィギュア
留ブラnano
検索
リンク
ブログジャンル
記事ランキング
最新の記事
画像一覧
以前の記事
|
ファン申請 |
||