お約束のファースト・インプレッション。
確かに送料かかるはずだよ。
このサイズ(25.5cm×30cm)、このページ数(360ページ)、じつに重い。
風呂場の体重計に載せてみると、2.5kgときた。
キッドロボットから出た世界のデザイナーズトイを紹介した本“I AM PLASTIC”。
よっこらしょと持ち上げて、彷彿とするものが。
そう、店主がまだボーヤだった26年まえに作った本超SF映画が似たようなサイズで、ページ数は90多い450ページ。
ただし紙質がキメの細かいグラビア用ではなかったから、重さで250グラム負けた。
ま、勝ち負けの問題ではなくて、キッドロボットのポール・バドニッツが編纂した本について、お約束のファースト・インプレッションだ。
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ひとことでいうならこの本は、書名どおりのプラスチックな内容である。
なら拙著はブリキほど古臭くはないけれど、いいとこセルロイド止まりか。
映画のフィルムにはセルロイドが使われていることだし、いまほどデジタルではなかった時代の映画本ということでピッタリの例えかもしれない。
ひきかえ“I AM PLASTIC”はプラスチック=デジタル時代の申し子バドニッツ(キドロボット創業まえの彼は原子力発電所安全解析プログラム用のコードを書くほどコンピュータに精通していた)による、もっとも新しいオモチャ=プラスチック製デザイナーズトイの興隆(本の副題“the designer toy explosion”にならって“爆発”というべきか)を、大量の写真と最小限度の文字情報で表現した刺激そのものである。
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全ページがキリヌキ写真の一見無秩序な羅列。
実物を知らないかぎり、それらデザイナーズトイのサイズは分からない(が、プラスチックの質感は誰もが知っている)。
本著は説くことを目的とせず、周知の素材を糸口に、スケール無視で縮小拡大した写真を頼りにデザイナーズトイのありようを感じさせんとする実験的な試みであり、それ自体がアートだと見た。
アーティストへのインタビューが巻末に掲載されているが、会話というよりはアンケート調査の結果を見るよう。
しかしその記号的な言葉の交換が、また、らしいところでもある。
バドニッツは序文の冒頭でポップアートのカリスマ、アンディ・ウォーホルのこんな言葉を引用している。
「みんなプラスチックさ、でもぼくはプラスチックが大好き。ぼくはプラスチックになりたいんだ」
書名“アイ・アム・プラスチック”は、だから現代ポップカルチャーの最前線にいるバドニッツのマニフェスト。
デザイナーズトイという山の頂に立った男の自信に満ちた声なのだろう。

店主、先週末から下呂市の別荘にいて“I AM PLASTIC”を手にするまえ、ひさしぶりにウォーホルの“ぼくの哲学”でも読み返そうかと書庫から持ち出して来ていた。
だからどーしたってこともないけれど。
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店長、さっそく“I AM PLASTIC”をヤフオクに出した。
7200円の希望落札価格はバカ高な送料のことを考えれば、しょうがないか。
“超SF映画”は7800円だったけれど、値段では店主の勝ち?
by tomenosuke_2006 | 2006-11-14 04:07 | 書店入荷新着情報
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