なにかとやっかいなMIMでしたが。
届いた品物に問題があったり、オーダーを変更しようと思ってメールしても、部門をたらい回しにされたりで、なぜかスムーズにいかないMIM(MONSTERS IN MOTION)だったけれど、最近、日本人スタッフが入社して電話やメール(ローマ字)での問い合わせに日本語で応えてくれるようになった。
担当者の名前はIsamu Sonoyamaさん、太平洋標準時の午前10時〜午後2時のあいだなら確実に電話(714-577-8863)に出られるということで、もう安心だね。
モンスターインモーションワ、コノサキニホントノコウリュウヲフカメテイキタイトオモッテマス、ドウゾヨロシクオネガイシマス。
ということで、さっそく詳細を聞いてみようと思う原寸大プロップレプリカが登場した、買う気はないよ、単なる好奇心から。
なにかとやっかいなMIMでしたが。_a0077842_1013869.jpg
1982年の映画狼男アメリカンの狼男最終型、5500ドル。
サイズは前脚の先から後脚の先まで8フィート、およそ2メートル40センチもあるから、飾るといっても一部屋いる。
ポリウレタン・フォームが注入されたラテックスの皮膚に映画と同じ野牛ヤクの本物の体毛が植えられ、硬質レジンキャストのキバとガラスの目玉付き。
店主、そのむかしリック・ベイカーの工房で本物見てるから、このレプリカの精巧さには恐れ入った次第。
もう25年もまえのことだからハッキリいきさつ思い出せないけれど、まだボーヤだった店主は狼男アメリカンのジョン・ランディス監督から、彼のユニヴァーサル・スタジオにあったバンガロー風のオフィスで、はじめてリックを紹介された。
おそらくランディス監督ともその日がはじめてだったように思うけれど、どーだか。
ふたりは狼男アメリカンをイギリスで撮影・完成させて、ゆっくりバケーションを満喫したあとハリウッドに帰り、仕事に復帰したところだった。
大アマゾンの半魚人のリメイクを準備中で、“狼”の次の“魚”の怪物映画の構想についていろいろ聞かされたのだった。
プロデューサーをジョンが担当、もちろんリックが新解釈の半魚人をデザインし、なんとオリジナルのジャック・アーノルドが監督するという。
すでにリックの工房では半魚人のプロトタイプの製作が開始されていたけれど、残念ながら企画は空中分解してしまったのだった。
なにかとやっかいなMIMでしたが。_a0077842_115875.jpg
それにしてもMIMが販売する狼男の画像を見ていると、バルーンテクニックで膨らむ特殊メイクや、メカを忍ばせて変形させるダミなどの作り物に、ロウテクな時代の変身って、やっぱ“味”があったなぁと思うわけ。
けっこう好きな映画アンダーワールドのデジタル生成の人狼たちに文句のつけようはないけれど、だからそれっきり、うまくやってるね、で終わっちゃう。
それに引きかえむかしのは、皮肉のひとつも言ってやりたくなるような弱点やら、手仕事ゆえの不完全さに満ちていた。
言いかえれば、誰が作ったんだろうと思わせる作家性のようなもの、人の味と書いて人間味というけれど、そんなアナログな匂いが怪物からにじみ出ていたものなのだ。
映画のデジタルな怪物に夢中になれなくなった老齢の店主が、新生オブジェモチャに惹かれるのは、単に新しモノ好きという性格からじゃない、むしろ懐かしいモノづくりの精神を変なカタチや色のビニールやプラスチック製品に感じるから。
人それぞれっていうことさ。

ところでMIMのIsamu Sonoyamaさんにぜひ聞こうと思ってるのは、あの凄い狼男を製作するのにリック・ベイカーが監修とか、協力したのかってこと。
もしそうで、少数限定版で、リックの直筆サインとナンバーリング入りだったりしたら、とりあえず倉庫で保管はできるぞって思ってみたりして。
やっぱ電話するのやめようか、知らぬが仏とか、君子危うきに近寄らずっていうし。
by tomenosuke_2006 | 2007-07-18 13:20 | プロップ
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