ハリウッド仕込みの双子の人形アニメーター。
上記のタイトルは、去年、沖縄のタウン情報誌に載った記事の見出しである。
“ハリウッド仕込み”っていう表現がいいね、大いに懐かしさを感じる。
20数年前の大昔、店主も何かをハリウッドで仕込まれたひとりだからかも。
“人形アニメーター”というのがますますいい、デジタル全盛のこのご時世に、まさかご冗談でしょっていうぐらいアナログな職種だよ、けれど店主いちばんのご贔屓モンスターSFX。
で、いまのハリウッドのどこへ行けば人形アニメなんて職人仕事のお勉強ができるのかと思ったら、これまた10数年前の中昔のことだった。
“双子の”日本人兄弟がハリウッドで人形アニメの重鎮デイヴィッド・アレン(1999年他界)に師事、帰国後、故郷沖縄で9年の歳月を費やし、とうとう去年、上映時間32分の人形アニメ映画『鉄の子カナヒル』を完成させたのだ。
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双子の人形アニメーターとは比嘉一哲さんと之典さんの比嘉Bros.(ヒガ・ブラザース)、一度もお会いしたことはないけれど、いろんな場所でニアミスしていた模様、遠くて近い間柄なのだった。
店主があと数年長くLAに住んでいたら、きっとデイヴィッド・アレンを囲んでテリヤキでも食べたにちがいないし、映画『学校の怪談』シリーズのSFXプロデューサーを3作で降りなかったら4作目で人形アニメの仕事をお願いしていたかもしれない(実際、彼らは『学校の怪談4』に参加した)。
うれしいと言うべきか、内心ヤバいと思わないでもない、彼らもまた店主が1980年代に書いたSFX本に毒され(?)、その道に足を突っ込んでしまった人たちだった。
その結果が沖縄の版画家、儀間比呂志さんの絵本を原作にフル人形アニメで完成させた『鉄の子カナヒル』。
今年5月、下北沢にある短編専門映画館トリウッドで上映されたのに続いて、7月19日(土)から1週間、名古屋のシネマスコーレでも公開されることが決まった。
で、初日の舞台挨拶等で来名するついでに飛騨高山まで足を伸ばしたいという連絡とともに、『鉄の子カナヒル』の予告編や名場面を収めたDVDが届いたのだった。
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全編を観たわけじゃないから軽はずみなことは言えないけれど、ひとこと「いいかげんにしなさい!」と申し上げたい。
人形アニメがとことん神経をすり減らす重労働だっていうことぐらいは知ってるつもりだけれど、比嘉Bros.に限っていえば苦節9年どころか、9年も楽しんじゃって、「もう、なんて子たちなんでしょ」と文句のひとつもいいたくなる。
くらい、ルンルンな出来なんだよ、『シンドバッド七回目の航海』(1958年)のサイクロップスの赤ん坊まで出したりして。
ぞろぞろ出てくるモンスターたちの顔ぶれを見たら、彼らの思いの丈が手にとるように分かる。
好きなんだよね、レイ・ハリーハウゼンとか人形アニメやスペシャルメークの怪物たちが。
近年のSFX映画は最新設備の巨大ファクトリーで、ものすごい数の人員を投入して造られた、れっきとした工業製品。
スクリーンの向こうに“人”や“ハート”が見えないのがとりわけ味気ないと思っている店主なのだけれど、ガレージでコツコツ撮りだめされた比嘉Bros.の『鉄の子カナヒル』にその心配は無用だろう。
高山で彼らに会うのは楽しみだけれど、ひさしぶりに映画に人肌を感じにシネマスコーレへ出かけてみようかと思っている。
by tomenosuke_2006 | 2008-07-05 00:01 | TV・映画・ビデオ
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