ダッチという名の超タフな猿にご用心。
最近まで知らなかったけれど、榎本店長によると月末の給料日ごろっていうのは買いが集中(殺到じゃないところがややさびしいけど)するらしい。
中には1ヵ月分の取り置きを給料のあとにまとめて精算する人もいらっしゃるとか(まるで他人事のような口調で失礼、人見知りで計算が苦手な店主は仕入れとサイトでのセールスプロモーションが担当で、接客や売上げ管理は完全に店長まかせなもんで)。
つまり給料日、英語でいうところのペイデイがきて、留之助はやっと息がつける仕組みなのだ。
そんなペイデイの現金の出し入れや支払いで混み合う銀行へお金を預けに来ていたのがダッチ、怖いもの知らずで人(猿)一倍腹の据わったチンパンジーだった。
窓口で入金伝票を書いていると、突然、動物マスクをかぶった3人の武装強盗がなだれ込み、まんまと大金をせしめたかと思った直後、ダッチの電光石火の活躍で全員がぶざまな死を迎えることになる。
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サンフランシスコ在のイラストレーター、Nate Van Dyke(ネイト・ヴァン・ダイク)がとりわけ拘り描き続けているチンパンジーをオブジェモチャ化したのが、このペイデイ。
18×18×15センチの表面にドル紙幣を模したウィンドーボックスに、銃を構え現金袋を手にしたダッチ本人と強盗からの戦利品、セイウチのマスクが収められている。
一見、ダッチが強盗のようだけれど、お間違いのないように。
彼はあくまでもそこに居合わせてしまった人殺しを“ヘ”とも思わない善意の第三者なのだ。
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作者のネイトはN8とも書く。
抜群のデッサン力による細いペンと厚いマーカーを巧みに使い分けたハイコントラストの絵が、まずいい、男らしい。
水彩もアクリルもオイルの技もずば抜けて高度なのは、自称“2才からの絵描き”だからだろう(N8のサイトを要チェック)。
出版・音楽・アパレル業界で腕を揮い、最近、City of HereosのゲームメーカーNCsoftのシニア・コンセプト・アーティストになった。
このN8と、あっという間に完売してしまったトライサイクル・テラーのスコット・トールソン、テイストは異なるけれどオブジェモチャ界にデビューしたばかりのふたりには新しい波を感じないではいられない。
かつてのゲイリー・ベースマンやティム・ビスカップ、それに続くジョー・レッドベターやエリック・スケアクローの才気にはじめて触れたときのような感動に似ている。
おっとそれから、ペイデイには16ページのコミックブックが付属する。
N8いわく「幼稚園のころ母親が買ってくれたHE-MANのフィギュアにはミニ・コミックブックがオマケで付いてきて、キャラクターを紹介していたんだけれど、このクールなアイディアにはやられたよ。20年以上たったいまでも通用すると思う。だからオモチャを作れるようになった記念に、ぼくもコミックブックを付けてみたというわけさ」。
ペイデイの発売まで、あとちょっとお持ちください。



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by tomenosuke_2006 | 2008-08-06 23:59
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