30年前、V.I.N.CENT.の1979年っていう年は。
『スター・ウォーズ』の大ヒットでSF映画が娯楽の王道に躍り出たのが1977年、それ以前にSFが好きなんて口にしたら、周りから白い目で見られた迫害の歴史をオジサンなら忘れない。
とにもかくにもSWのおかげさま、SF映画ブームの火は日増しに強まり、70年代の終わりにはもはや猛炎となって世界中に燃え広がっていた。
1979年、いわゆるSFバブル時代の幕開きである。
その年を振り返ると出てくる出てくる、忘れがたき傑作やほとんど忘れてしまった珍作の数々、『ブラックホール』はどちらかというと後者に限りなく近い惜しまれる大予算映画だった。
1979年の傑作:リドリー・スコットの『エイリアン』、クローネンバーグの『ザ・ブルード』、ロメロの『ゾンビ』、ジョージ・ミラーの『マッドマックス』、ロバート・ワイズの『スター・トレック』、ニコラス・メイヤーの『タイム・アフター・タイム』。
1979年の単なる大予算映画:『宇宙空母ギャラクティカ』、『スペース・レイダース』(バック・ロジャースのリメイク)、『ブラックホール』、『メテオ』、『007/ムーンレイカー』、『1941』。
1979年の明らかに珍作:『殺人蜜蜂大襲来アメリカ大陸滅亡の日』、『銀河戦争/宇宙巨大戦艦・スターシップSOS』。
ジャストミートもあればスマッシュヒットもあり、大ぶり三振なんてのも少なくなかったが、いずれにしてもすべてが愛しいSF映画にちがいなかった。
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そんな時代に飛び出したビンセントとは、MINDstyleがリバイバルモチャ化でもしない限り、ほとんど誰の話題にも登らなかった洋風ダルマ、ぶっちゃけ、失われたロボットだった。
けれど、思い出してしまった以上は気になって仕方ない、いまさらながらに頭から離れなくなるSFキャラなのである。
ビンセントにとってこの30年という長く静かな時間は、彼の真の魅力を熟成するためのイニシエーションだったのかもしれない。
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1979年にはUS版STARLOGのこんな別冊が出版されたけれど、『ブラックホール』やビンセントに関する記述は一切載っていなかった。
それがライセンスの問題によるものか、タイミングが悪かったのか、採り上げるに及ばないと編者が考えたのか、そこのところは分からない。
by tomenosuke_2006 | 2009-08-08 23:07 | TV・映画・ビデオ
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