2018年 05月 17日 ( 1 )
82年版スタント・ブラスターの第一世代コピーを入手しました / 2
The cast of the first generation of 1982 Stunt Blaster / 2

ダグのヤツ、こっそり持ち出したゴムの鉄砲で1万ドル以上も稼いだことになる。
2013年3月にオンライン・オークションicollector.comで"スクリーン・ユースド"と謳われ、12,000ドルで落札されたラバー製のブレードランナー・ブラスターは、マイク・スミッソンによれば、かつて彼が複製作りに借用しオリジナル・スタント・ブラスター、つまりストーラン・ブラスターそのものなのでした。
その持ち主にして泥棒、そして30年後にはオークションで一獲万金をものにするダグ、本名ダグラス・ベンソンと、ブラスター入手の経緯について記す前に、ラバー製ブラスターの謂れに触れておきたいと思います。
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ご存知のようにヒーロー・ブラスターは1挺しか作られませんでした。
諸説紛々で、いまだに真の製作者は謎のままなのですが、『メイキング・オブ・ブレードランナー』の著者ポール・M. サモンが、出版からしばらく経ったころ、ブラスターの出処について興味深い話をしています。
編集の都合で著書には収めきれなかったと前置きして、『ブレードランナー』のロケハン・クルーが、ダウンタウンの質屋のショーウィンドーにヒーロー・ブラスターの元となるカスタムガンが飾られているのを見つけ、スタジオに持ち帰ったというのです。
これは著書にある「プロップ・マスターのテリー・ルイスがブラスターを製作し、メキシコ人の職人が実際に作業に当たった」という記述とは若干異なりますが、メイキング本を執筆していたころのサモンは、まさかブラスターがこれほど盛り上がるネタになるとは思いもよらず、軽くあしらったのでしょう。
そのカスタムガンは、ハリソン・フォードの右手に合わせてグリップ・エンドがトリミングされ、シュタイヤー・マンリッヒャー・ライフルのマガジンにLEDの発光ギミックが搭載され、左側のシリンダーカバー上部のロッドの両端にグリーンのLEDが取り付けられて、ヒーロー・ブラスターに生まれ変わったのです。



そんな手が加えられる前の、ダウンタウンの質屋から持ち帰ったばかりのカスタムガンが、スタジオのプロップマンによって型採りされ、黒のラバーで複製されました。
数点作られたというラバー製ブラスターのうち、グリップ部を茶色に、グリップフレームとグリップエンドを銀色に塗ったものがヒーロー・ブラスターのスタント・ショット用に使われ、黒生地のままのものは制服警官が携帯しました。
前者のスタント・ショット用ヒーロー・ブラスター、つまりスタント・ブラスターを確認できる最も顕著なシーンといえば、リオンがダウンタウンの雑踏でデッカードを追い詰め、ブラスターを弾き飛ばすあの場面でしょう。(上のクリップを参照)
リオン役の俳優ブライオン・ジェームズが考えたという名台詞「目を覚ませ!死ぬ時間だ!」を口にした直後、彼はブラスターを拾ったという設定のレイチェルに頭を撃ち抜かれるわけですが、雑踏に吸い込まれるように消えたスタント・ブラスターは、じつは本当にセットから消えてしまったのでした。
なぜならそこにダグがいたから。
ダグはダウンタウンのシーンのために雇われた数百人のエキストラの一人で、何日もバーバンク・スタジオに通い、支給された衣装に着替えてはスモークが焚かれた薄暗い照明のセットを往き来し、ある時、千載一遇の機会に見えたのです。
そう、何度目かのテイクでリオンが弾き飛ばしたスタント・ブラスターが彼の足元で止まり、咄嗟に拾い上げるとジャケットに隠し、何食わぬ顔で闇に紛れたのです。
ブラスターがなくりスペアが使われたのか、それ以上、リテイクされなかったのか、タイミングよく監督がオッケーを出したのかは分かりませんが、エキストラのダグをしてオリジナル・スタント・ブラスターはスタジオの外に持ち出され、マイクがそれをコピーした結果、世界中のファンを喜ばせることになったのでした。
というわけで最後になりましたが、泥棒にして、ある意味、ブラスター・ファンの恩人、ダグラス・ベンソンを紹介させていただきます。
下のモノクロ・スチルにご注目ください。
左下の赤い丸で囲った、オフィサーKのように大きな襟で半分顔を隠した男性が、ダグです。
どうぞお見知り置きのほど、よろしくお願いいたします。
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ちなみに留ブラ・ポリス・モデル(通称・黒モデル)は、留ブラPROをベースに制服警官用のブラスターをイメージしたもので、改造される前の素のブラスター同様、LEDユニットを取り除いたオリジナル・シュタイヤー・マガジンとトリミング前のグリップエンドを新規金型で鋳造し、グリップを黒のレジンで抜いて組み上げた限定品でした。
また、劇中の複製ブラスターのゴムの感触までも再現しようと試みたのが、留ブラ・ラバーガンでした。
これまでにたくさんのお問い合わせをいただいていますが、このふたつの黒い留ブラに再販の予定はございません。
あしからずご了承ください。
次回は、スタント・ブラスターの第一世代コピーのディテールについて解説するつもりですが、リサーチが十分でないため、しばらくお時間をいただきたいと思います。
つづく

by tomenosuke_2006 | 2018-05-17 12:05 | 留之助ブラスター