CS&T Worldcon Model/ワーコンモデル続報。
リチャード・コイルさんの新作ブラスター“ワーコンモデル”の出荷が遅れている。
仕上げの途中でインフルエンザにかかり、そのうえパーツを磨いて出た埃をしこたま吸ったものだから喘息に陥り、しばらく寝込んでいた。
もう若くないっていうか、当年58才なんだから、ご自愛いただきたい。
さて、ワーコンモデルにはオプションがある。
LEDスイッチをサイドに取り付けたタイプと、いままでどおり爪楊枝でON-OFFするタイプのふたつが用意され、好きな方を選ぶことができる。
賛否両論あったけれど、これでいちおう懸案解消だ。
右側面シリンダーカバー前のボタンパーツについては、通称Weaver scope knob(ウェバー・スコープ・ノブ)という新パーツと、いままでどおりのマイナス・スクリュー・パーツの2種類が付属する。
左側面シリンダーカバー前のワイヤーの処理も、露出タイプとそうでないタイプが選択できる。
理想はサイド・スイッチにワイヤーが露出したShowing ver.(ショーイング・バージョン)と、サイド・スイッチなしワイヤー露出なしのHidden ver.(ヒドゥン・バージョン)の2挺を所有すること? コレクターの夢だよね。
初期出荷分15挺が完成すると、引き続き5挺だけ追加で造られ、その後5挺のフルメタル・バージョンの製作に入る予定だ。
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こちらの画像もご覧ください。
# by tomenosuke_2006 | 2007-03-02 12:02 | プロップ
やぁ、オレ、異常者。
HELLO my name isホアック・ジーが、今度こんなの10個だけ作ってebayに出すらしいよ。
HELLO I'm insAne(ハロー・アイム・インセイン=やぁ、オレ、異常者)っていう拘束衣を着た8インチ・ダニー。
店主、いろんなダニー、見てきたけれど、ここまでアブナカワイイのははじめてだね。
しかもよくできてる。
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ところで拘束衣映画っていえばジャケット(2005)ってことになるかな、新しいとこでは。
店主は羊たちの沈黙(1991)の大ファンだけど、大昔のドイツのカリガリ博士(1920)を見逃すわけにはいかないね。
いまから30年くらいまえ、映画評論家の大先輩にカリガリを観たこともないヤツに映画を語る資格なし、みたいなこといわれて、といって簡単に観られる類いの映画じゃなかったから8ミリ・フィルムを輸入した。
およそ70分のサイレント映画、ようするに映写機の音しか聴こえない映画、シーンとシーンのあいだに解説やセリフが書かれたカットが入るという昔仕立て。
英語力不足で読み切れないわ、だからストーリーが半分ぐらいしか分からないわ、けれどグラフィカルなセットデザインにあんぐりみとれて、70分があっという間にすぎたっけ。
やぁ、オレ、異常者。_a0077842_21472636.jpg
精神異常のお医者さんカリガリ博士と、その忠実なしもべの夢遊病患者による連続殺人事件を描いている。
で、終盤、ついに取り押さえられた博士が拘束衣を着せられ独房へ収容されて、そのあとにあっと驚くどんでん返しが・・・。
ホラー映画のルーツという人もいれば、ヒッチコックのようにカリガリを映画作りのお手本にしてきたと公言する監督も少なくない。
ジョー・ダンテが監督したオムニバス映画トワイライトゾーン(1983)の第3話(全4話中、最高の出来だと思うよ)のセットデザインも完全にカリガリってた。
ひとことでいうならドイツ表現主義という芸術。
感情や心理を視覚に例える手法と、勝手に理解している。
いまなら簡単にDVDが手に入るし、しかもBGM付きであきさせないし、たまにはこういう映画観るもいい。
さっきYuo Tubeでチェックしたらセットの書き割りがストリートアートのように見えてきたけれど、これって重症?
ホアック・ジーの新作異常者君は、イマモチャやり過ぎるなよっていう警鐘なのかもしれないね、でも買っちゃおっと。
# by tomenosuke_2006 | 2007-03-01 22:14
ブレランをめぐる暴言 1/3 「スコット監督の恋人」

はじめに映画ブレードランナーに関する記述は、4分の1世紀以上まえに店主がLA界隈で見たり聞いたりした話のおぼろげな記憶に基づいている。店主はブレランについて書かれた研究書や論文を推考したり、公開後もたびたび改編された完全版やディレクターズ・カット版を精査するような熱心なマニアではない。店主にとってブレランはそれがつくられた時、幸運にもその近くにいたという理由から、心情的にずっと共生する映画だった。ブレランをめぐる暴言と題するこの文章は、そんな映画についての回想と、商品化に関する最新の話題を併記した雑文に過ぎない。

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↑ 日本版スターログ1981年10月号より転載。映画ジャーナリスト時代の若き日の店主が寄稿した撮影現場レポートで、この記事が日本で最初にブレランを紹介した文章となった。


去年の秋、映画のマーチャンダイジングの仕事をしている知人から、長いあいだ闇の中にあったブレードランナーのライセンスが近くクリアになりそうだが、売れ筋はブラスターとスピナーぐらいだろうかと相談を持ちかけられた。
大量生産品にあまり興味のない店主としては、反対に意地の悪い質問を浴びせたものだった。
何が売れるかではなく、きちんと製品化する自信はおありかと。
ファンの知性を過小評価しては困る。
安易な態度は彼ら(我々)の気持ちを踏みにじるのに等しく、とりわけブレランほど世界中に研究熱心なファンを有する映画はないと力説せねばならなかった。
この映画の細部にいたる作り込みの深さは尋常ではない。
神秘的ですらある。
謎の迷宮は果てしなく続くようにも思われ、詳細を知りたいとの欲求がファンの結束を固くしている。
たとえばすべてが白日の下に晒されているSWとは次元が異なるのである。
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↑ 売れ行きが奮わなかったERTL社のダイキャスト・ミニカーのセット。その後、在庫整理のために単体ブリスター版が発売された。


映像とサウンドトラック以外の主なライセンスは映画出資者で組織されたThe Blade Runner Partnershipが管理していたが、映画公開後まもなく解散した。
玩具の商品化権がダイキャスト・ミニカーのERTL社ぐらいにしか売れず(SWのようなわけにはいかなかった)、加えてその売れ行きが奮わなかったこと、またBLADE RUNNER SKETCHBOOKなど関連書籍の翻訳権の引き合いが期待したほどなかったことなどが解散の最たる理由だった。
その後、4分の1世紀ものあいだほとんど放置されてきたようなブレランのライセンスなのだ。
稀に見る濃厚な世界観ゆえに魅力的なプロップデザインも数知れず、ガレージメーカーたちがそこに創作の可能性を見出したとしても不思議ではなかった。
優れた作品がアンダーグラウンドで芽を吹き、控え目ながら地上で開花することになった。
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↑ かつてゼネプロから正規品のポリススピナーのソフビキットが発売された。ディスプレー・モデルとしてだけでなく、タムテックとのコンパチも楽しめた。


ブレランはカメラが回り出すまでに何度も不運に見舞われた映画だった。
製作直前にアラン・E・ナースという作家が同名のSF小説を発表していることが判明し、多額のタイトル使用料が支払われることになった。
その問題が解決すると、今度は映画の独立プロ系製作会社フィルムウェイズが当初の製作費2200万ドルを徐々に削減しはじめ、ついには企画そのものを放棄してしまったのだ。
それが1979年12月、映画にはタイミングの問題がある。
スタッフやキャスト、スタジオのスケジュールなどがすべて考慮されて、ブレランは1982年6月の公開に向けて企画されていた。
プロデューサーはマイケル・チミノのディア・ハンターでアカデミー賞を獲ったマイケル・ディーリー。
13もの映画会社に協力を求めたが反応はかんばしくなかった。
1979年12月といえばハリウッドは天国の門の前評判で大作映画のリスクに対して神経質になっていた時期。
チミノのディア・ハンターをプロデュースした人物が、こともあろうにチミノの新作で意外なしっぺ返しを食う、そんな皮肉に見舞われたのだった。
1980年の1年間は出資者探しに費やされ、1981年3月、やっと独立プロダクション、タンデムとラッド・カムパニーの援助を取り付けることに成功した。
さらに香港の富豪、ラン・ラン・ショウの資金も投入されることになった。
その結果、これら出資者の複雑な力関係やライセンス・ビジネスに対する見解の相違により、いったん解散したThe Blade Runner Partnershipのような組織を再編することはほとんど不可能になってしまったのだった。
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↑ フューチャーカー/MEDICOM。1:18 scale、ファンメイドになるデカールを貼り付けクリアコート。バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2で使われた元スピナーを製品化する権利を取得、フューチャーカーという商品名で発売してブレラン・ファンを唸らせた。


ちょうどそのころだったと記憶する、ヴィデオドロームの準備に追われるSFXメイクアップ・アーティスト、リック・ベイカーの工房で店主はリドリー・スコットに対面した。
あのエイリアンの監督は店主がこれまで見たこともないような絶世の美女を伴っていた。
リックの言葉をかりれば、彼女はスコット監督の恋人だった。
同じ時期、遊星からの物体Xのクリーチャー部門を指揮していたロブ・ボーティンからスコット監督が美女とふたりで訪ねてきたと聞かされた。
リックとロブが語るスコット監督の訪問理由は、いずれも仔細な点にまで完璧を期そうとする当代切ってのヴィジュアル・スタイルストの有り様を裏付けるものだった。
本来なら、その程度の用事はプロデューサー補の仕事なのだ。
リックとロブのブレランへの参加は実現しなかったが、この出来事だけでも今度の映画がエイリアン以上に緻密な映像の集積になるに違いないと確信させられたのだった。
スコット監督からどのようなオファが2人にあったかは後述するとして、それより翌年、つまり1982年の春、ブレランの試写を観て店主はスコット監督の恋人の正体を知ることになる。
あのときの美女、一瞬目が合い、どぎまぎしてついうつむいてしまった店主の見た女性は、スネーク・ダンサーのゾーラを演じた女優ジョアンナ・キャシディその人だったのである。
つづく。

当店在庫より、その他のスピナー。
# by tomenosuke_2006 | 2007-02-28 20:15 | TV・映画・ビデオ
発売前に売り切れっていうケースが増えてきた。
発売前に売り切れっていうケースが増えてきた。_a0077842_22584168.jpg
ついこのまえ、キッドロボットが自社製品の卸販売を出荷制限することになったって書いたけれど、最近のデザイナーズトイ人気はハンパじゃないね。
よそのメーカーでも似たようなことが起きている。
もともと生産数が少ないからね、コレクターが獲り合いするまえに、ディラー間で熾烈な争奪戦が繰り広げられることもしばしば。
とくに人気のアーティスト作品、最近ではJLED(ジョン・レッドベター)の8 inch Toxic Dog(猛毒沼のワン公)のブラウンとブルーがいい例。
最低注文数がそれぞれ6個だったから、そのようにオーダー入れたというのに、2個ずつしか回してもらえなかった。
これじゃ、お店に飾るまえに売り切れちゃいそうだよ。
ま、売れ残るよりはいっかぁ。

ところでさっきK-Iさんって方からコメントいただきました。
店主がオブジェモチャにこだわる「ワケ」、デザイナーズトイのことを詳しく知らない人のための入門コースのような記事を期待してるって。
確かに、なぜオブジェモチャなのかっていうこと、一度も話してなかったような。
で、近く、その点について語らせていただくこと、約束しますね。
# by tomenosuke_2006 | 2007-02-27 23:42
きょうの戦利品。
きょうの戦利品。_a0077842_2213540.jpgちょいまえのブログでニコ・ベリーデイブ・ザ・チンプのワンオフ・ファットキャップを紹介したとき、20インチって書いたけど、正確には20インチ・ダニーのからだに特製ファットキャップの頭をのせていて、身長は16インチ(40センチ)ぐらい。
きのう届いたの見て、分かった。
で、正式にはスーパー・ファットキャップっていうみたいだね。
そのワンオフ・スーパー・ファットキャップの3人目をお迎えすることになったこと、ここにご報告申し上げます。
アーティストはQUIK(クイック)、2004年にはじまった3インチ・ダニーのその記念すべき第1シリーズに参加していたNYの人気ストリート・アーティストで、今回店主が手に入れちゃったのはそんな彼の本領発揮っていう感じの傑作だね。
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ファットキャップのからだ全面にモンタナ・カラー・スプレーのきれいなイタズラ描き。
平和で、幼く、かわいい顔に、オジサン店主、なごんでおります。
そんなスーパー・ファットキャップを20インチのダニーの横にならべてみて、なるほどと。
今度出るチルトの6インチ版、からだは8インチのダニーのを流用してるだろうってことが判明したね(そんなことどーでもいーってか)。
店主、恐れてたとおりファットキャップにどっぷりみたい、じつは4人目のスーパーも同じ便で届くことになってるんだよ。
顔見せはいずれ、また。
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# by tomenosuke_2006 | 2007-02-26 22:56