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お尋ねしたいことがありますから、下記により係官のもとまでおいでください。
6月9日、岐阜地方検察庁より、上記見出しの書簡が届いた。
日時・平成23年7月12日(火)午後1時30分
用件・平成21年12月9日の模造けん銃の件
台湾から帰国した翌日、2時間かけて岐阜市の検察庁に向かった。
結論・押収された留之助ブラスターAPの試作品と、その他、昭和46年規制前のモデルガンの、いわゆる模造けん銃所持違反により略式起訴が確定し、後日、科料が言い渡されることとなった。
模造けん銃は造ることも、それを売ることさえ罪には問われず、所持だけが違法となる。
つまり押収された留之助ブラスターAPの試作品に限っていえば、それが店主の営むオモチャ屋の店内にあったことが違法なのであって、販売目的で製作の指揮をとったことなどは罰則の対象ではないのだった。
お尋ねしたいことがありますから、下記により係官のもとまでおいでください。_a0077842_23145751.jpg
去る3月16日に高山警察署で行われた最後の事情聴取では、
1.バレルジャケットを鋼鉄製にしたために金属割合が増え模造けん銃の要件を満たしてしまったこと、
2.よって閉塞した銃口が目視できる樹脂製のバレルジャケット(リコール・バレル)を用意して、
3.押収品と同じ部材構成である販売済み留ブラOGの完成モデルについてはすべてリコール・バレルに換装、
4.キット購入者にも金属製のバレルジャケットを装着したままでは法に触れることを知らせ、リコール・バレルを提供して、
5.製造販売した者としての責任を全うした旨を供述した。
おそらくその調書が検事の机にうずたかく積まれた関係書類の山のいちばん上にあったのだろう。
家宅捜索から1年と7ヵ月目、検察庁での約1時間の聴取のあと、ようやく司法の判断が下りた。
留ブラは鋼鉄製のバレルジャケットを装着したAPの試作品だけが模造けん銃であり、リコールバレルが装着されたOGはこの限りではないのだ。

OG所有者の皆様には長きに渡り多大なご心配、ご迷惑をおかけしましたこと、本当に申し訳ございませんでした。
また、リコールバレルの換装及び交換に際しましては並々ならぬご理解とご協力をたまわり、改めまして心より感謝申し上げます。
これにて留ブラ事件は落着しました。
お尋ねしたいことがありますから、下記により係官のもとまでおいでください。_a0077842_1331241.jpg
検察庁の帰り、岐阜市でカメラマンをしている従兄弟のスタジオに寄り、限定黒モデルをチャチャっと写してもらった。
後日、ゆっくり見ていただこうと思っている。
by tomenosuke_2006 | 2011-07-26 01:54 | 留之助ブラスター
留ブラについてのご質問にお答えします。
留ブラPROのクレーム対応状況と2次ロットの発売日についてお知らせするつもりでしたが、そのまえにコメント欄にいただきましたご質問にお答えします。
店主が当然と思いあえて口にしなかったことが次から次に憶測を呼び、まったくちがった懸念へと発展してしまう、言葉足らずな点を反省する次第です。

マルシン工業さんには留ブラAP(=OG)が警察に押収された件、2010年2月に岐阜県警科捜研から模造拳銃との指摘を受けた件、その後3月に検査差し戻しとなった件など、すべて報告しております。そういった状況の中でPROはマルシンさんの安全基準に則り製作が進行しました。もちろん11月の科捜研による最終判断についても報告しました。その際、マルシンさんに製作を請け負っていただくPROはマルシンさんの責任の元に造られ、留之助商店が製作販売したOGについては当然のことながら店主が全責任を負わねばならないと強く思いました。高山署での聴取はつねに穏やかでした。けっして争わず、こちらの見解をいたずらに主張することは控えました。模造拳銃と判断された具体的な理由として蛍光X線元素分析装置による数値が示されましたが、私は金属の含有率が何%以下なら問題とならないのかといった質問もあえてしませんでした。またAP(=OG)のバレル(ジャケット)が金属製でありながら銃口が先端で閉塞されていないこと、見るからに本物の拳銃と見間違われる可能性があると指摘され、ますますリコールバレルの必要性を感じた次第です。もちろんマルシンさんによるPRO製作のことは逐一担当の刑事さんに話し、調書にも詳しく書き留めていただきました。
 
従いまして留ブラPROにつきましては、これまでも、これからも、マルシンさんに造り続けていただく限り、何の迷いもございません。
去る7日にはマルシン工業さんで2次ロットのスケジュールについての話合いを持ったばかりです。
by tomenosuke_2006 | 2011-01-11 00:09 | 留之助ブラスター
留之助ブラスターOGのオーナーのみなさま。
留之助ブラスターOGはご承知のように装飾用ガレージモデルです。
業界関係者や研究家のアドバイスをいただきながら安全対策を施し、出来る限り正確な外見と重さの再現を目指して、完成モデルとキットモデルをそれぞれ約100挺製造しました。
キットは留之助商店が、完成モデルはハリウッド・コレクターズ・ギャラリーが販売しました。
そのうち店主所有の完成モデルの初号を使い、島田英承さんにカスタマイズしていただいた留ブラAPの試作品が高山警察署に押収され、岐阜県警察科学捜査研究所での鑑定の結果、模造銃と判断されました。
しかし最終的には店主の供述をもとに作られた調書が検察官送致となり、そこではじめてAPに司法の決定が下されます。

去る12月26日に発売された留之助ブラスターPROについて書き添えます。
この商品は創業50年の業界最古参であるマルシン工業さんの確かな安全基準に則り部材構成が決められ、試作品が(財)日本文化用品安全試験所での検査に合格するのを待って組み立てられ、全日本トイガン安全協会(STGA)の認定をいただき発売されたプラスチックモデルガン適合品です。
当店とハリコレ・ギャラリーがマルシンさんに全幅の信頼を寄せていることは言うまでもありません。

そのPROと、APやOGの部材構成が異る部分は、前者がブルドッグ・フレームとバレルがHW樹脂で一体成形加工されているのに対し、APやOGはレジン樹脂製の短身バレル付きフレームに金属製のバレルジャケットを取り付けている点です。
そこでOG完成モデルを回収してPROと同じ部材構成に改良し、より安全性の高い商品に近づけようと考えました。
今回発表しましたABS製バレルジャケット(リコールバレル)との換装は、OG所有者のみなさんに対して、いま当店が出来る唯一の善後策だといういうことです。
調書にもそのことが記されています。

ブログでことの顛末を詳述しようとしたのには、ふたつの理由があります。
まずひとつは警察から直接OG所有者のみなさんのお宅を家宅捜索したり、突然、呼び出して事情を訊くようなことはないと説明を受けていたからです。
その際、OGキットは捜査の対象外であるとも聞いています。
とにかくそれらを前提の拙文でした。
もうひとつの理由はキットを含む出来るだけ多くのOG所有者のみなさんに事情をご察しいただき、リコールバレルとの換装に積極的にご協力いただきたかったからです。
しかし返って余計なご心配をおかけすることになってしまいました。
慚愧に堪えません、本当に申し訳ございませんでした。

またこの時期に事の経緯とリコールバレルについて発表させていただいたことにつきましては、高山警察署での聴取が終わるのを待つのが賢明だと考えたからです。
また換装作業に必要な人出と時間を考慮した結果でもあります。

検察庁でAPが模造銃であるとの決定が下された場合、リコールバレル未換装のOG完成モデルは同様に模造銃となります。
ただしリコールバレル換装済みOG完成モデルが合法かどうかの判断は、その場では出ないことも十分に考えられます。
万が一、リコールバレル換装済み完成モデルも違法となった場合は、ふたつの選択肢を用意します。
ひとつは当店とハリコレ・ギャラリーが責任をもって回収し、返金対応させていただくことです。
またもうひとつはレジン製リコールレシーバーを製作し、交換サービスを実施します。
当店としましては、我が子のようなOGをどんなことをしてでも延命させたい。
留ブラOGをブラスターの歴史から葬り去るようなことは絶対したくないのです。
それでは不実の告発者に対して屈することにもなります。

いずれにしましてもOGご購入の皆さまに、警察の捜査が及ぶことはございませんのでご安心ください。
なにとぞリコールバレルへのご協力とご理解をたまわりますよう、お願い申し上げます。

留之助商店 店主


by tomenosuke_2006 | 2011-01-09 01:55 | 留之助ブラスター
留ブラの光と影『ダイジェスト版』
2時間程度で済んだ黒染金属製モデルガンについての事情聴取とは裏腹に、岐阜県警察科学捜査研究所による留ブラAPの鑑定結果に基づく1年に及ばんとする計7回の取り調べについて、当時のメモや記憶を辿り、その稀有な体験をなるだけ詳細に書き留めておきたかった。
そして最後に“あるお願い”で締めくくろうと思っていた。
しかしこのままではOGオーナーの皆さんに余計な不安を強いてしまうと判断、ダイジェスト版をここにまとめ『留ブラの光と影』を早々に完結させることにした。

2009年12月9日午前の家宅捜索のあと、午後からはじまった最初の聴取で、担当刑事からAPの試作品は他の黒染金属製モデルガンとともに科捜研に送られ、その鑑定結果を待って話を訊くことになると言われた。
それから2ヵ月と2週間後の2010年2月23日、鑑定後はじめての聴取が行われた。
下呂温泉の別荘での押収品目録に記された模造けん銃様のもの(黒染金属製モデルガン)は当然のことながら模造銃とされたが、昭和46年の法改正後に不正に購入したものではなく、大半が父の遺品であり、残りは少年時代からの私物だったため、また改造等の痕跡もないため、聴取はスムーズに終わった。
問題は留之助商店で押収されたAPがX線マイクロアナライザーにかけられた結果、レジン製グリップ以外はすべて金属製と断定され、模造銃の指定を受けたことだった。
これには一瞬言葉をなくしたが、島田英承さんがレジンやデルリン樹脂製パーツをリアルに見せるため塗料に金属粉を混ぜて仕上げたことを思い出し、その結果、誤った検査結果が出たのではないかと説明して再検査を強くお願いした。
この時から店主の経歴にはじまり、留ブラを造り販売に至るまでの動機や状況などを訊ねられるままに話すこととなった。
翌週の3月3日、2度目の聴取でAPが再検査に出されると知らされ溜飲が下がる。
しかしそれからが針の筵だった。
延々と8ヵ月、何の音沙汰もないのだ。
ストレスからか血中タンパクが減少しネフローゼ症候群を発症しかけた。

しかしその間、STGAマーク付きで発売されるPROが指針となり、時間をかけてある品物を準備できたのは不幸中の幸いだった。
OGの樹脂製チャーターアームズ・ブルドッグはスナッブノーズという設定で、その先に金属製のバレルジャケットを取り付けている。
PROとの部材構成上の大きな違いはその部分だけだ。
そこで島田さんと徳信尊さんにはABS製のバレルジャケット、通称リコールバレルの製作に入ってもらった。
再鑑定の結果がクロと出て、その後の聴取のあと調書が検察官送致となり、結果、そこで模造銃と判断された場合、留之助商店がとるべき道はOGオーナーのみなさんのご負担を最小限に留めることだろう。
それにはPROの部材構成に準じ、OGを改良することが最善の策だと考えた。
そのリコールバレル合計200本は5月に出来上がった。

「いたずらに結論を延ばしているわけではない。より重大な事犯を優先するあまり、ブラスター銃の検査が後回しにされているだけで、けっして他意はない。そろそろ結果が送られてくるはずだ」
晩夏のころ、家宅捜索の際の主任刑事から電話をちょうだいした。
それからまた2ヵ月はたっただろう、11月9日、科捜研の再検査後はじめての、待ちに待った、通算4度目に当たる聴取が行われた。
無残にもバラバラに切り刻まれたAPの写真を見せられた。
今度は蛍光X線元素分析装置にかけられ、金属の含有率が投影面積42%、体積45%、質量80%
となり、見るからに銃に似ているという理由で模造銃とされた。
結論は同じだったのだ。
店主はしかし玩具銃における金属の含有率が何%以上だと模造銃と言われるのかを知らないし、明文化されたものを読んだことさえないが、余計な主張は控え、鑑定結果を真摯に受け止めて、担当刑事の質問には正確に答えるよう努めた。
その後、11月9日、16日と聴取は続き、12月2日の最後の聴取のあと調書に母印を捺したときは、刑事さんを相手に延々と留ブラ開発ストーリーを語ってきたような感慨を覚えたのだった。

榎本店長も3度ほど聴取を受け、近く調書が整い次第、母印を捺すことになっている。
わずかな期間ではあったがAPが店長の居住する留之助商店の建物内にあったということで、模造銃所持の書類が作られる。
徳さんはあくまでも留ブラの原型師であり、部材の決定には一切関係していないため、家宅捜索はおろか、聴取も免れた。
部材構成や製造に関するアドバイザーでもある島田さんは、来週、店主の供述の裏付けのために高山警察署の担当官の訪問を受ける。
OGキットは、今回の捜査の対象外だと聞いている。
検察庁でAPが模造銃に指定された場合、OG完成モデルが規制の対象となるが、店頭と通販でそれを一手に販売したハリコレ・ギャラリーには、まだ警察からの連絡はない。

リコールバレルについてのお願い

留ブラOG完成モデルを対象に、メタル風に塗装したABS製バレルジャケットとの交換サービスを実施いたします。
通販でご購入のお客さまにはハリコレ・ギャラリーより直接書面で連絡がございますので、いましばらくお待ちください。
また連絡先が定かでないハリコレ店頭で直接完成モデルをお買い求めのお客さまや、その他何らかの方法で譲り受けられたオーナーのみなさまは、info@hollywood-japan.jpまでお申し出ください。
同じく交換サービスさせていただきます。

留之助オンラインより留ブラOGキットご購入のお客さまにも、順次、リコールバレルをお届けいたします。
また2008年12月13日のハリコレでのプレビューの際、キットを店頭購入されたお客さまをはじめ、リコールバレルに関するご質問等は、info@tomenosuke.comまでご連絡ください。
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by tomenosuke_2006 | 2011-01-06 20:09 | 留之助ブラスター
留ブラの光と影 - その1『2009年12月9日・家宅捜索』
留之助ブラスターPROの年内先行発売の約束も果たし、発送作業もヤマを越えたいま、そろそろ語りはじめてもいいだろう。
PRO開発に費やした1年は、同時に高山警察署でOGに関する幾度かの事情聴取を受け、送検用の書類が出来上がるまでの1年でもあった。

「中子真治さんだね。留之助ブラスター銃を造った責任者の中子さんだよね。銃砲刀剣類所持等取締法違反被疑事件につき、いまより家宅捜索させてもらうよ。これが裁判所発行の令状だから」
玄関から表に出るよう促され、A4サイズの白い紙を目の前にかざされながらそう告げられると、直後、6名の捜査員が下呂温泉の別荘に上がり込んだ。
2009年12月9日の吐く息も白くなる早朝のことだった。
マルシン工業さんに留ブラPROの製造を請け負っていただけることが決まり大喜びした日(こちらの記事を参照)の翌朝、文字通り寝耳に水を浴びせられ、一気に眠気が吹っ飛んだ。
と、同時に腹を括ったのだった。
別荘には昭和46年規制前のいまでは模造銃に指定されている黒染の金属製モデルガンが10数挺、普通に目に付く場所に置いてあり、必ずや見つかってしまうだろう。
かつて実家で父の遺品整理をした際、土蔵の奥から油紙に包まれ出てきた未発火で傷ひとつない名銃の数々。
まるで時間が止まったか、40年前の懐かしい時代からタイムワープでもしてきたかと思わせる新品然としたMGC最初期のコルト・ガバメントやルガーP08、中田商店のブローニング・ハイパワーやハドソンの南部14年式が、別の段ボール箱にきれいに詰められたオリジナル・パッケージとともに見つかり、以来、オモチャが大好きだった父(ムカシモチャのカテゴリで度々紹介してきた)の形見として、罪の意識をこれっぽちも感じることなく大事に保管してきた。
その何にも代え難い特別な宝物が没収されてしまうのだ。
口惜しくてならない。

玄関を入ってすぐ右隣の書斎で捜索の主任とおぼしき刑事から、彼の言葉を借りるなら“ガサ入れ”について、また留之助ブラスター銃を今後も作り続けるつもりなら、この機会にそれが合法かどうかシロクロはっきりさせておいた方がいいだろうと説明を受けた。
それは岐阜県警と高山警察署の捜査員12名による合同の家宅捜索だった。
飛騨高山の留之助商店の3階を住居代わりに使う榎本店長に、店の外で待機している6名の別動隊を速やかに建物に入れるよう電話させられた。
昨夜、店長の運転で川口市のマルシン工業さんから5時間かけて下呂温泉の別荘へと送ってもらい、彼はさらに1時間先の店舗兼住居に帰宅していた。
店長には一切の隠し立てをせず、店に保管してある唯一の完成モデルのほか、警察が求めるすべての関係資料を提出するよう念を押した。
唯一の完成モデルとは店主所有のOGの初号を使い、島田英承さんが仕上げたAPの試作品で、後日、本番のAPと同じアルミ製グリップフレームに付け替てもらうつもりでいたもうひとつの宝物だった。
主任刑事からは、捜索中は電話等で外部との接触を図ることを固く禁じられ、常に目の届く場所にいるよう命じられた。
その間、他の捜査員は書斎の机の引出の中を見たり、また別の捜査員は棚に飾ってあるOFF WORLDのブラスターやTHEUNCLEGUN.COMのプラスチック・キャスト製アンクルカービンに磁石を近づけたりしていた。

家宅捜索は1階の書斎から書庫を巡り、2階のリビングやキッチン、和室や納戸などをざっと見たあと、3階の主寝室へと移った。
その奥のウォーキング・クローゼットには、シリコン・オイルを吹き、ビニール袋で包み、オリジナル・パッケージに収めた父の遺品のモデルガンがあり、案の定、最初にそこへ足を踏み入れた若い捜査員にあっさり見つけられてしまった。
にわかに場が色めいた。
捜査員全員がそこに集まった。
主任刑事が携帯電話で連絡をとりはじめた。
「こちらに留之助ブラスター銃はありませんが、模造拳銃様のものを10数点押さえました」
売買したわけでもなければ、改造しているのでもない、単に父の形見だし、きちんと合法処理するから没収だけは勘弁してほしいと、鉄壁の刑事を相手に無意味な嘆願をする自分が情けなかった。
クローゼットの床にモデルガンを1挺ずつ並べる捜査員。
メモ用紙に番号を振り、それを横に置いて撮影する別の者。
棚の上の木箱に、中学生だったころボロボロになるまで遊び尽くし、けれどなかなか棄てられずにいたヒューブレー・オートマチックやマテルのスナッブノーズやいくつかのモデルガンの残骸を見つけ、組み立てようとする人もいた。
実際、先端のサイレンサー状シリンダーがもげ落ち、機関部も壊れ、バレルとスライドとフレームがバラバラになっていたMGCのターゲットモデルを器用に組み上げ、それも押収品のひとつに加えられた。
別荘では最後にiPhoneが押収された。

下呂温泉にある店主経営の別の小さな会社の事務所や建物などは形式的な捜索で終わり、社長が事件の被疑者だと気付く従業員はひとりとしていなかった。
それは自家用車の助手席に主任刑事を乗せて移動した先の、高山市で妻が営むセレクトショップ最上階の自宅を捜索された時も同じだった。
捜査員は半分に減り、けっして第三者に気付かれぬよう配慮された。
もちろん怪しい物は何も出てこなかった。
車中では主任刑事から半年前に告発を受け調査してきたこと、その一環で別の刑事が客を装い入場料を払って留之助商店を下見したこともあると教えられた。
また自分は未見だが部下に『ブレードランナー』を観させたところ、虜になる人がいてもおかしくない、さすがによく出来た映画だと感心していた、とも。
きのうから36時間態勢で若手を各所に張り込ませ、店主と店長が帰宅するのを確認して家宅捜索したと聞かされた時は、「ご苦労をおかけしてすみません」と冗談で返す心のゆとりも戻っていた。
早朝からの家宅捜索は終わり、1時間後に高山警察署の生活安全課へ出頭するよう告げられ、ひとまず解放されたのだった。

ひとりになると、突然、様々な思いが脳裏をかすめた。
OGが合法かどうかを見極めるためだけに、このような物々しい布陣が敷かれたとは考えにくい。
模擬銃や真正銃でも出てきたら大当たり、最低でも模造銃所持で挙げることができると分かっていての家宅捜索だったのではないか。
主寝室の奥のウォーキング・クローゼットに目的の物があると、裏がとれていたのかもしれない。
そこへ行き着くまで、別の部屋で無駄に時間を過ごすことはなかった。
捜査員の足取りは確かに3階を目指していたように思えた。
告発とは都合のいい言葉だが、ようは店主が黒染の金属製モデルガンを所持していることを知る、ごく少数の知人のうちの、店主に私怨を抱く誰かにチクられた気がしてきた。
しかしそんな邪推にエネルギーを割くゆとりはない。
いまはOGの購入者に迷惑が及んだり、APの納品やPROの開発にブレーキがかることこそ問題なのだ。
空腹なのに食欲が湧かない、朝から何も口にしないまま複雑な気持ちを引きずり、定刻通り高山警察署の門をくぐった。
生活安全課は奥の階段を登った3階にあった。(つづく)
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たぶん捜査員が使用し、忘れていったマグネット。後日、クローゼットの床で見つけた。亜鉛ダイカスト製のモデルガンに磁石は引っ付かないが、もしこのスマイルマークが貼り付いて離れないような銃があったりすると、その場で逮捕となりかねない。


by tomenosuke_2006 | 2011-01-02 23:59 | 留之助ブラスター